西へ西へコロナ疎開

コロナ第2波は想像以上で、東京では何と300人越え。

こんな東京は脱出するに限る。
大阪行きの「ドリームルリエ1号」で目が覚めたら5時台で、三重と滋賀の県境あたりだった。

ブログでも付けようにも、電波状態が悪くてブログが開かない。
大人しく二度寝でもしているしかないのか。

そんなこんなで千里中央のあたりから阪神高速を降りて大阪駅を目指して南下する。

大阪駅に着いたら、新梅田の「大阪屋」で納豆ご飯にでもしたいが、今日は広島にも立ち寄りたいので朝食は新大阪でカツサンドでも食べることにして、7時51分新大阪発ののぞみで広島に急ぐことにしたい。
決死モデル:チームRハナ

その「のぞみ」はといえば、新幹線開業前は153系が活躍するほど平坦な山陽路も、新幹線はといえばトンネルだらけで電波がまるで入らない。それでブログも碌に付けることが出来なかった。
やっぱりそんな時は寝るに限る。

そして広島駅に到着。
決死モデル:チームPユウリ

新幹線コンコース売店には「にしき堂」のもみじまんじゅうも売っている。
最近のカープは1番西川龍馬、2番菊池涼介、3番堂林の「にしき堂打線」である。
しかしいかんせん投手陣がどうにもならない。堂林や誠也が打っても打っても取られるという状況である。

さて、それはともかく広電に乗りましょう。

広島駅前からの広電は1番が紙屋町を廻って宇品港行き、2番が西広島行き、3番が宮島口行き、5番が比治山を経由して宇品港行き、6番が江波行きなので、原爆ドームへ行くには2番、3番、6番のどれかに乗ればいいということになる。
その中で、宮島口行きの3番に乗ることにした。

程なくして原爆ドーム前に到着。

原爆ドーム前に何の用か? それは、広島市立中央図書館前に寄ってダークツーリズム用の新聞記事を取得したかったのである。

広島市民球場の跡で花に関するイベントをやっている。ところで雨が降り出した。
雨の中を市立中央図書館に到着。

中国新聞はリールではなく、平板状のマイクロフィッシュという形式であり、リールよりも見つけやすいという利点がある。
中国新聞では、まあまあの釣果を出して朝日新聞の縮刷版からも記事を見つける。

図書館前や相生橋では、雨の中を汗だくになり、その汗が目にしみ、鼻からマスクを伝わって来る蒸気で眼鏡が曇り、それを外す手の脂で眼鏡が汚れ… という何重苦もの中をどうにかみくの決死を終えた。決して内容の良いものではない。
決死モデル:チームPみく

ともあれ、その釣果を早速お披露目することとしたい。

先述の通り、最近も投手陣の崩壊で最下位に喘ぐカープであるが、球団創設当初はそれどころの弱さではなかった。
何しろ金がなかったのだから。

それで広島市民の樽募金で小鶴誠や金山次郎や銭村兄弟を獲得したのも有名な話。
とは言いつつも、昭和28年のカープも相変わらず弱かった。

4月12日は地元・広島総合グランドで洋松ロビンスとのダブルヘッダーだった。

洋松ロビンスは前年、松竹ロビンスが勝率3割を切って罰則を受け入れる形で下関が本拠地だった大洋ホエールズと合併して発足したものである。

そんな「カープより弱いチーム」のはずだったのだが、この年は開幕からカード4連敗だった。
ちなみにこの年の4月1日に尾道西高校のグランドで行われた洋松2回戦は、白石勝己のホームラン性の当たりを、カープファンがフェンス代わりのロープを引き下げて無理矢理ホームランにしたという今では信じられない事件が起きている。
この影響で、プロ野球開催球場の基準ができたという逸話で知られている。

さて4月12日の1戦目はというとエースの長谷川良平が先発するも、阪神の草創期メンバーでもあったベテラン藤井勇に打ち込まれで4-2でゲームを落とし5連敗目。

2戦目はといえば、前年までその松竹のユニホームを着ていた片山博がこの年はカープで背番号16を背負って先発し、中盤に一度は敵失で逆転したものの、8回表に片山から替わった太田垣喜夫が、洋松のキャッチャー荒川昇治に3ランを打たれ・・・

ここで事件は起こった。

5面のトップでは皇太子殿下の北米御巡幸について大きく報じている。

カナダ空軍機で東海岸のビクトリア市に到着し、カナダ儀仗兵の閲兵をした旨を報じている。
この時点での皇太子殿下とは現在の上皇陛下のこと。

それよりは小さく、真ん中あたりに「三審判カン詰」として報じられている。
これはどういう事件であったか。

広島カープが3-2でリードしていよいよ連敗脱出かと思われた8回表、洋松の6番打者・荒川昇治が右打席から放った打球は強烈な引っ張り打ちでレフトのポールに当たり、それはホームランと判定された。
そしてこの3ランが決勝点となり、7-5で洋松が勝ち、カープは連敗を脱することができなかった。

あの微妙なホームランさえなければカープは勝てたのだ。そういえばあのレフトの線審のジャッジは曖昧だった・・・ あの審判は許せない!
広島ファンが暴動を起こし、恐怖した審判がダグアウトに逃げ込むこととなった。

カープの主将門前眞佐人が説得しても駄目、監督の石本秀一が説得しても駄目。
ついには警察沙汰にまでなってしまった。

同じ日の朝日新聞では「野球ファン大暴れ」という見出しであるが、もっと凄いことが報じられている。

怒った広島ファンは、問題のレフトポールを引き抜いてベンチ前まで持ってきて、警官隊と奪い合いにまで発展したというのである。

そして洋松の選手は広島の選手に守られながら這々の体で宿舎まで帰ったという。
青田昇や権藤正利などは「広島のファンはこんなのばっかりかい!」とカープの選手に毒づいただろうか。

ちなみに洋松で4番を打っていた「神主打法」岩本義行もまた広島は三次の出身。「おどりゃぁカープに帰って来んね!」ぐらいのことは言われていただろうか。

後年、解説で「何と申しましょうか・・・」の名調子で知られることとなる江戸っ子の小西得郎はこの時点では洋松の監督であった。
熱狂的なカープファンを羨ましく思うとしながらも「カープ側から何らかの謝罪が得られない限りは広島での試合は拒否する」と強硬姿勢だった。
その小西がロビンスの監督になったのは岩本義行の要請によるものであったという。やはり小西も広島出身の岩本に「広島のファンはどうなってるのか」と毒づいただろうか。

そして杉村主審は「もっとファンの教育が必要だ」とコメントしている。

翌4月14日、地元中国新聞では「ホームラン騒乱事件」として報じている。

広島球団としては洋松球団に謝罪を行った。
しかし、問題は既にカープだけの問題ではなく、セリーグ全体の問題として認識され、鈴木龍二セリーグ会長は前日の杉村主審同様「ファンの教育を」とコメントしている。

また、15日には特急「かもめ」で広島に直々にファンにお願いに来るということだった。
ちなみにこの特急「かもめ」、この3月に京都〜博多に復活したばかりの、山陽本線では久しぶりの特急であった。
東京からであれば、14日の夜には東京を「銀河」で発っていただろうか。

また、セリーグ会長としては、13日付けで警告文を発している。やはり、その中でも広島のファンがチームをあらしめたことに一定の謝意は呈している。

さて、次はダークツーリズムへと赴きたい。

原爆ドーム前で6番の江波行きを待つ。

江波行きは大して重要視されていないのか、年式の古い車両ばかり充当されているようである。
昭和の末頃の「軽快電車」みたいなのが来る。

そして江波終点から少し歩く。
広島の街自体が複数の三角洲でできている感じがするが、昭和大橋を渡った別の三角洲に広島総合グランドがある。

次の予定では、12:55鹿児島中央行きの「みずほ」に乗らないといけない。
しかし昭和大橋を渡った時点で既に12時を回っている。本当に間に合うのか?

結局、タクシーを拾って広島県総合グランド->駅と行ってもらうことに。
総合グランドは現在でも野球や陸上などさまざまな競技で使われている。
決死モデルチームPウメコ

雨の中を撮影したくらいにして駅まで行ってもらう。
タクシーの老運転手に「どこから?」と聞かれ「千葉から…」と答えた時には緊張したが、向こうはさして何も思っていないようだった。

それ以上に「丸は実家は床屋だったらしいがもう閉業しているらしい」「柳田は広島の出身なのにすっかり福岡の子になってしまった。現在では父親が広島駅前のタワーマンションを買って住んでる。それも息子がソフバンで貰った金だろう」という話になった。
広島駅には割と余裕で間に合った。

次なる予定に向けて「みずほ」に乗る。

余裕とはいえ、そばの一杯も食べる余裕までは無かった。
結局、歌弁のむさしの塩むすびを買って車内で食べる程度。

「みずほ」の車内ではほとんど寝ており、博多で少し起きた程度だった。
まるで猫のように長い時間寝ているような気がする。そんなに疲れているのだろうか。

そして鹿児島中央に到着。
鹿児島はいつもながら蒸し暑い。
市電の軌道敷は緑化するのだという。
そういえば都電でもやってたような・・・
決死モデル:チームRナオミ

鹿児島中央駅では大して時間的余裕があるわけでもなく、駅周辺で決死する程度。

16:30にフェリー接続のバスが来て、あとはフェリー桟橋へ。

奄美諸島の生活の足でもあるマルエーフェリーは、甲板にコンテナも満載している。

このコロナ時代にお定まりの体温測定を行い乗船手続きへ。
いよいよ、今回のメインイベントであるお船の旅と相成る。
決死モデル:チームY楼山

やっぱり船の旅は良いね。
那覇到着予定は明日の19:00。
明日はほぼ丸一日船の中である。

 

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