世間から隔絶した秋

今年も新宿は花園神社の酉の市のシーズンがやってくる。
つまり「見世物小屋」のシーズンということ。

去年はほとんどデリシャスウィートスのライブという、サブカルな感じだった。
別にデリシャスウィートスが悪いというわけではない。でも「見世物小屋」に求められているのは、そこだけ世間から切り離されたような不安感ではないだろうか。世間から切り離されてここだけが昭和で時が止まっているような。
だから、本当は明るくツイッターだのインスタグラムだのやっていてほしくない。若者にオサレな感じで受け入れられるようなものであってほしくない・・・ と言ったら求めすぎだろうか?
でも、それが今の「見世物小屋」だとしたら、それはそれで一つの形なのだろうか・・・?

まあいいや。そんな御託は。

とにかく花園神社へ行きましょう。
決死モデル:チームWB嵐山

そもそも「酉の市」とは何の祭りか。それをWikipediaで調べてみると、

酉の市の由来は、神道仏教の双方から、それぞれ異なる解説がされる。
神道の解説では、大酉祭の日に立った市を、酉の市の起源とする。大鳥神社(鷲神社)の祭神である日本武尊が、東征の戦勝祈願を鷲宮神社で行い、祝勝を花畑の大鷲神社の地で行った。これにちなみ、日本武尊が亡くなった日とされる11月の酉の日(鷲宮神社では12月の初酉の日)には大酉祭が行われる
また、浅草・鷲神社の社伝では、日本武尊が鷲神社に戦勝のお礼参りをしたのが11月の酉の日であり、その際、社前の松に武具の熊手を立て掛けたことから、大酉祭を行い、熊手を縁起物とするとしている。

仏教(浅草酉の寺・長國寺)の解説では、鷲妙見大菩薩の開帳日に立った市を酉の市の起源とする。1265年文永2年)11月の酉の日、日蓮宗の宗祖・日蓮が、上総国鷲巣(現・千葉県茂原市)の小早川家(現・大本山鷲山寺)に滞在の折、国家平穏を祈ったところ、明星(金星)が明るく輝きだし、鷲妙見大菩薩が鷲の背に乗り現れ出た。これにちなみ、浅草の長國寺では、創建以来、11月の酉の日に鷲山寺から鷲妙見大菩薩の出開帳が行われた。その後1771年(明和8年)長國寺に鷲妙見大菩薩(鷲大明神)が勧請され、11月の酉の日に開帳されるようになった。

・・・という事なのだそうな。
ではなぜその酉の市で見世物小屋なのかというと、酉の市そのものにはさほど関係ないようで、むしろ花園神社に、以下のような由緒があるようである。

名誉宮司の片山文彦は、東京女子医科大学大学院修了の医師(医学博士)であるが、学生時代には芸大の音楽の教授に師事をし、演劇の脚本を書いたこともある人物である。そのため、1967年(昭和42年)に、唐十郎が率いるアングラ劇団「状況劇場」が紅テント公演をするにあたって、境内を提供した
近年は、消えつつある「見世物興行」に、境内を提供している

これを読む限りでは、花園神社としてはむしろ「アングラ演劇」の方がメインになっており、それのついでに見世物小屋も、という読み方になりそうである。
だから、花園神社として見世物興行がサブカル的なのは、むしろ正統な流れといえるのかもしれない。

今年は「ゴキブリコンビナート」というアングラ系の劇団がやるのだという。
ここもツイッターやってたりするので、やっぱりサブカル系なんだろうか。
結構特殊な感じではあるが、昔の見世物小屋のような、世間と隔絶したところで芸道を究めている、という感じではなさそうである。
むしろ最近行った八潮秘宝館の方がそういった見世物小屋に近い感じはする。

去年の見世物小屋の始まりは16時頃だったので、やはり今年も16時頃行ってみると「始まりは18時ごろなんですよね・・・」と言う。

仕方がないので、屋台で1杯引っかけながらモツ煮食ったり玉こんにゃく食ったり。
でも今日はその後の予定も入っているので、最初しか見れないかもね・・・

そしていよいよ始まる。

  • 最初はレディースみたいなのが出てきたが、衣装がやたら土埃で汚い。これでよくステージの上に立とうと思ったものである。
    彼女はろうそくの火を飲み込んだりする火吹き芸。
  • 次に出てきたのは、猛獣みたいに暴れている女性と、その女性をリードで引っ張って制しようとする飼い主の男。
    「ヤモリ女」と呼ばれる女性が虫を食べる。

・・・という所で、次の予定の時刻が来た。
最初の2つ見るだけでも、往年の「見世物小屋」感は十分にあったといえるかもしれない。まるで電撃ネットワークのような体を張った芸という感じだった。あとはやっぱり「世間と隔絶した怪しさ」が欲しいところ。

さて、帰途に就くためにまずは小田急で代々木上原へ。
とりあえず、さっきたらふく食べたモツ煮や玉こんにゃくや牛串を出してしまいたい。
でも駅のトイレはウォシュレットが無いから嫌だ。どこかの店ならウォシュレットがあるはず・・・
と思い、バーキンでコカコーラゼロを頼んで、トイレに入ることにした ・・・ら、鍵が赤と青の中途半端な状態になっている。空いてるのか? と思って開けたらゴスロリな感じの女性がいるではないか!
女性は、さほど驚いた様子もなく扉を閉めて、鍵を閉めた。ボケーっとした感じの女性だったけど、大丈夫?

・・・が、その女性はいつまでたっても出ない。こっちは切羽詰まっている。いつになったら出る?

ものの15分も待ったであろうか。一体全体トイレの中で何をやることがあるのかと思っていたら、彼女は全く別の格好でトイレから出てきた
そしてドアを閉めもせずドタドタと店を後にした。
つまり、彼女はハロウィンという非日常においてゴスロリの格好をして渋谷か原宿かで盛り上がった後、このトイレで着替えをしていたのだ。一体全体何考えてんだ。

ただ、気になったのは、やはり彼女が絵にかいたようなデブスという事だった。きっと普段は誰からも相手にされずに過ごしているのだろう。そんな彼女が変身できる日。それがハロウィンだったのだ。
おそらくは小田急線沿線に住んでいる彼女は、またデブスとしての日常に戻っていくのだろう。

きっと、渋谷で軽トラックを倒したDQN共にとっても、日常はそう大差ないものなのかもしれない。

 

関連するエントリ(とシステム側で自動的に判断したもの)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です