事実上の1日目の朝はベトナム最大の貿易港・ハイフォンで始まる。
ベトナム北部ではやや内陸にある首都ハノイの外港になるので、東京で言えば横浜、平壌で言えば南浦という位置関係にある。
ハイフォンの中心部にあるNhà hát lớn Hải Phòng(家喝𢀬海防)つまりコンサートホール。正面には胡志明の肖像画が掲げられている。
その前の大通りをバイクの大群が轟音を立てて通り過ぎて行く。
(決死モデル:チームR園田)
ちなみに、今回の旅行はいつもの限界旅行とは訳が違い、𡨸喃(ベトナム漢字)の勉強の関係で仲良くなった実業家っぽいことをやっている方のお世話になりながら旅行をするので、決死撮影もそうそうできるわけではないが、ベトナム人の生の生活を見ることができるという事で、また違った楽しみを見出すこととしたい。
とりあえず待ち合わせの前に、この家喝𢀬の前にあるカフェで休むことにしたい。
ベトナム人の若者や親子連れで賑わっているが、まあ賑やかなこと! 日本では、子供が少し大きな声を出せば周囲の目がやたら厳しいが、ベトナムでは全くそんなことはない。
程なくして、実業家さんが来たので合流することに。
早速ご自宅にお招きされ、御家族御友人その他に歓迎してもらう事に。
色々な料理が沢山の皿に並べられ、それを全員でつつくのがベトナム流である。
当方が豆腐煎(厚揚げ)を好きなことを知っていて、それも作ってもらっていた。
実業家さんは日本語も理解しているが、「それをベトナム料理だと思って食べる人は珍しいよ」とのこと。
ベトナム語というのは、一人称として碎(tôi)、二人称としてbạn(伴)があるのはあるが、実際の会話では年上→年下に対してはem(奄)、年下→年上男性にはAnh(偀)、年下→年上女性にはchị(姉)というのを、一人称でも二人称でも使う。
つまり、日本語の感覚で言うと、若い人に話しかける時「おじさんはね・・・」と一人称にして話すようなものである。
それで、ベトナム人は相手の年齢をやたら気にする。そういったあたりベトナムもまた儒教民族であり、こんなことを言えばベトナム人に怒られそうだが、いろいろな意味で「中国っぽい」のである。
中国を嫌いなベトナム人は多い。この実業家さんにしても「中国を嫌いだと思っていない」とは言うものの「中国の安い食品が増えたせいで癌が増えた」という言い方はする。
はたして、年齢を言うと、口々に「若い!」「若い!」と言う。
この年になると「若い」と言われて悪い気はしない。
そうすると次は、「マッサージに行きましょう」という。
マッサージ・・・? なにぶん、にほんブログ村にも「東南アジアナイトライフ情報」というカテゴリがある程には、日本人にとって東南アジアはそういうイメージを伴っている。
それで、マッサージってまさか? という気もしたが、まさか女性もいる場でそうそう滅多なことはないだろう。それも真っ昼間から・・・
果たして、その「マッサージ」とは白亜の御殿であり、英語表記は「spa」となっていた。
入ってみると、要は日本の健康ランドのようなものである、風呂があり、サウナがあり、その風呂では裸でサッカーを見ながらビールを飲むことも出来る。
そして「1万ドンチップを払うとVIPサービスを受けられます」という。
別にVIPサービスとか要らんけど・・・ ってかVIPサービスって何よ? まさか? という気がまたしたが、日本円にして500円程度。
マッサージも受けたが、女性客も多く全く健全なものである。
当方の事前の懸念は杞憂に終わった。
実業家さんは「ベトナムは日本と違って汚いでしょう」と言う。
「いいじゃないですか。日本は色々な事に口うるさいし、お金持ちも給料をくれなくなったので、若い人が子供を産み育てる気力もなくなって、お爺さんお婆さんばかりが増えてますよ。このままじゃ日本は世界の国に負けます」と日本人らしくへりくだっておいた。
「ドリアンを食べますか? 臭いから日本人には難しいでしょう」という。
ベトナムらしいものはできるだけ経験したいと思ったので、食べることにした。
たしかに刺激臭は強く、食べてもニンニクのような刺激があったが、それでも果物としては美味しかった。
「ドリアンを嫌がらない日本人なんて初めてです」
「そんなことないでしょう。ベトナムで犬や猫だって食べる日本人を知ってますよ」
「犬や猫を食べるのは昔の人です」
今のベトナムの感覚ではそんなものらしい。
「それでは、一度ホテルに戻ってシャワーでも浴びてください。夕食はそれからにしましょう」という。
確かに東南アジアは高温多湿で、1日に何回かシャワーでも浴びないとやってられない感じではある。
その後、良い時間になったので街に繰り出し、最近ベトナムでも多くなった台湾ミルクティーの店でWifiしながら時間を潰すが、実業家さんはなかなか来ない。
LINEしてみると「ごめんなさい。仕事で面白いことがあったので夢中になってました。21時頃行きます」
・・・と言って、22時になろうとしていた。
「明日にします?」というと、「すみません」と。
まあ何と言うか、これがベトナムなのかね・・・