お化け映画

ベトナムの朝はバイクの爆音とともに始まる。
その中でも最大のメーカーであり、今やベトナムにおいてバイクの代名詞にまでなってしまったのが「HONDA」である。

さて、今回のメンは、決死やりにくい旅行であることが予想されたため、予備役当番数人しか連れてきていないが、帰ってから洗いに出すのは面倒なので、ホテルで洗ってしまうことにしたい。

ということで、9月15日以降出た子達を洗うことに。

同じホテルで2泊以上するという事自体稀有な事なのでできる芸当でもある。
それにしても、例の実業家さんも家に泊めてくれるものと思っていたら「ホテルは予約しましたか」と・・・ 呼んでもらったとはいえ、当方があまりにも期待しすぎだったのだろうか。
まあプライバシーが保てるならいいんだけど。

また、2泊以上するので、洗濯物は自分で洗わないで、ランドリーサービスに出すことにしたい。

いつもであれば、乾きやすい山歩き用のズボンやユニクロのAIRismのシャツを着て自分で洗うのだが、ちょっとしたお値段でここまでしてくれるのであれば、利用しない手はない。
決死モデル:チームTフジアキ

例の実業家さんから連絡が来て、9:30に来てくださいという。

少し早めに出て、市場を経由して実業家さん宅へ行くことにした。

まずはホテルの隣のATMで150万ドンほど下ろしていく。
無人ATMの前に警備の人がいるのは、インドネシアやカンボジアでも同じだった。
ATMといえば街中で現金に直接触れやすい場所。所得の低い国であればなおさら、治安上の不安が起こるのは容易に予想できようというものである。

さて、バイクの音の喧しい大通りから一つはいると市場で、ハイフォン駅に近いことから「Chợ ga(𢄂ga)」というらしい。gaは駅だが、フランス語のgareからの借用語であり、該当するチュノムはない。ただし、資料によっては「迦」とする資料もある。

その𢄂gaを抜けると実業家さん宅となるが、大通りに面した道路は遮断機で区切られ、住人以外は車で入れないようになっている。一種のゲーテッド・コミュニティーとなっていた。へえ・・・ ベトナムにもあるんだね。こういうの。そしてそんな場所の住人ですよ、という。

実業家さん曰く「今日は映画を見ましょう」という。

行った先はショッピングモールだった。

曰く「ベトナムで一番のお金持ちの人が経営しているショッピングセンターで、映画館もあります」。

ベトナム最大の実業家と言えばvingroup。
芽荘ニャチャンではVinpearl landという巨大な遊園地も経営している。一つの島の中にあるVinpearl landへ行くためには「世界最大の海上ロープウェイ」に乗っていくことになるのだが、2016年に行った時に乗ってみようと思っていた。しかし、夜行列車の旅の疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしま・・・ではなくて、そこまで行く気にはなれず、駅の近くの海岸へ行ったりフランス風のオープンカフェをはしごして過ごす程度に終わったのであった。

さて、実業家さんが日本人であるところの自分に見せたいと思っていた映画というのは、ご本人の弁を借りれば「お化け映画」つまりホラー映画であった。ベトナムではホラー映画が人気のようで、タイからホラー映画がたくさんやってくるのだという。

この映画もタイの映画であり、イケメンであるが人間的にはクズの青年が、要らなくなった女性に「死ね」と言ったら本当に死んで、色々な所に化けて出る・・・というストーリーであった。
日本人の感覚からすると、大して怖いとも思えないストーリーであったが、日本人があまりに刺激に慣れすぎているのだろうか。それともベトナム人が純朴に過ぎるのだろうか。
ベトナムは今でも社会主義国家であり、ことに北側は南側よりその歴史は長い。それでも「お化け」の存在を信じる程度には唯物論に染まりきっていない部分もあるようである。

昼になったので、「鶏を食べましょう」という。

実業家さんは 日本への留学経験があり、「ベトナムの物に比べて日本の物は何でもおいしい。でも鶏だけはベトナムの方がおいしいです」という。
それで、ぜひベトナムの鶏を食べさせてほしいとお願いしていたのだ。

果たして、骨の付いた鶏が丸焼きの状態ででてくる。
個人的には、鶏の手羽先なども骨が面倒なのであまり食べないのだが、これはなかなか美味である。
やはり、日本のブロイラーと違って、地鶏で育てているので味が違うのだろうか。

実業家さん曰く「日本に留学していた頃は、鳥貴族でバイトをしていました」
「へえ、鳥貴族トリキ。あそこは関西の店ってイメージですけど、大阪か京都にでも留学してたんですか?」
「いいえ。東京とうきよでしたよ。でも店員てんにんが汚い言葉を使うのですぐ辞めました」

確かに、鳥貴族の客層も店員もそれほどいいとは思えない。安いだけに。
でもベトナム人は後先考えずにやたら決断が早いような気がする。
部屋に虫が出たからと言ってアパートを解約する。店員の言葉遣いが汚いといってバイトをやめる。経営者には決断力が必要なのであろうが、後先考えてやっているのかどうかと言えば甚だ怪しい気がする。
それでも、彼はこうしてベトナムで若くして成功している。

「ではちょっと歩きましょう」

ベトナムの街並みを歩く。
学校らしき建物から威勢のいい声が聞こえてくる。

「あれが何だか分かりますか」
「何ですか?」
「毎週月曜日は、学校に集まって伯胡バックホーの写真の前で行進をしたりします」

伯胡バックホーとはホーチミンのこと。確かに公共施設の至る所にホーチミンの肖像画が掲げられている。

ところで、右のポケットがやたら軽い。
「あ!カメラが!」
「どうしましたか」
「カメラをさっきのシネコンに忘れたようです」
確かに、今回は1人の旅行ではなく決死もほとんどしていないのでカメラは使っていなかったのだ。普段の景色の写真を撮る時は、exif情報が記録されるようにスマホのカメラを使うようにしている。それが祟った形となった。

急いでシネコンに引き返し、その時の客席の監視カメラまで見せてもらって探したが無かった。
「誰かが持って行ったんです。ベトナム人には悪い人が多いから」
「仕方がないです。私が不注意だったのです」

・・・と、そこへ国際電話が掛かってきた。
+81 3・・・で始まる番号という事は東京。まさか会社?

と思ったら、
ビックカメラですが、お使いのポイントカードの最後のご使用から2年が経過しようとしています。2万円分ぐらいありますが、10月までにお使いにならないと失効してしまいますので・・・

何というタイミングだろうか。
帰国次第、この2万ポイントで新しいカメラを買えばいいではないか。

事の次第を実業家さんに説明すると、
「運が良いですね。それをベトナム語ではđỏ(𣠶=赤い)と言うのです」
「じゃ運が悪いのは?」
「それはđen(𪓇=黒い)」
「へえ。じゃ日本と赤と黒が逆ですね。日本なら会社が儲かっていれば黒い字で儲けた金額を書いて、借金が出れば赤い字で書きます。だから儲かっていない会社を「赤字企業」と言います」

どうやら学校の下校時刻であったらしく、屋台では生徒たちが食べている。

「飲んでみませんか」
「何ですかこの緑色の飲み物は?」
「サトウキビのジュースです」

また、カップに色々なものが入ったものも進められた。
こちらにはウズラの卵やサクラエビ?や生麺が入った物であった。スイーツと言うよりは、フライドポテト等のように「小腹が空いた」時の食べ物のようである。

夜になるとスコールが降ってきた。

適当に屋台でフォーを食べたくらいにして「また明日」という事に。

その後LINEが来て「カメラ車の中にありましたよ。銀色のですよね?」と。
本件一件落着。

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