50年の眠り ~西武安比奈線の廃線跡を歩く~

西武の安比奈線という、50年前に運行休止され去年正式に廃止になったという路線の線路が撤去されるのだそうな。

安比奈線と言うのは元々、入間川の川砂利を運ぶために敷設された西武鉄道の貨物線である。
なぜ川砂利かと言うと、建設資材になるからである。
関東は建物が多いだけに川砂利の需要も多かった。
東急田園都市線や、相模鉄道の発祥は、川砂利を運ぶ鉄道だったと言う程である。
しかし、川砂利を川から運ぶことで、その川に係る鉄橋の基礎が崩れるなどの被害が発生、1960年代には川砂利の採掘は禁止になってしまった。
それが、安比奈線の貨物列車の運行が止まった頃の話である。

それから50年以上経過し、やっと最近正式な「廃止」になったものが、現在でも線路が残っているという。

ということで早速西武新宿駅へ。
決死モデル:トルソーさんラ・バルバ・デ

特急「小江戸」でまずは狭山市まで行くことにしましょう。
西武池袋線の特急は30分に1本走っているが、こちらは1時間に1本の発車で、日中は毎時40分発である。

西武新宿線は独自のターミナルを持っているが、大手私鉄にしては言い知れぬ貧弱さを感じるというか・・・ それは何でだろう?
10両運転で、下手な京成なんかよりも輸送力はありそうな気がするし、有料特急だって走っているのだが。

狭山市で特急を降りて、南大塚までは各駅停車で行く。

そして南大塚で降りると、1番ホームの先には安比奈線の跡が広がる。
昔は貨車が犇めいていただろうか?
決死モデル:チームTエリー

会社の同僚で、この界隈出身の人に聞くと「ああ、南大塚から出てるあの線路ね。あれは昔砂利とウンコを運んでたんだ」と言う。
ただし、Wikipediaの「鉄道による糞尿輸送」によれば、実際に西武鉄道が糞尿輸送していたのは、井荻~田無・東小平・東村山・小川間であったというので、それはうわさに過ぎないものであろう。

さて、そんな尾籠な話はいいとして、廃線跡を歩くこととしたい。

何と、線路や架線柱まで残っている。
電気機関車がここを往来したということは、鉄道省がスイスから輸入して西武に払い下げたED12あたりも走っていたであろうか。

随分とロマンのある話である。

ここが2017年まで正式に廃止されなかったのは、ここに車両基地を作る予定だったからだという。
しかし、南入曽車両基地で十分ということになり、正式に安比奈線を手放すことにしたのだという。

それにしたって50年間と言うもの、なかなかいい距離の線路を残していたものである。
決死モデル:トルソーさん丸尾

改めて、この線路が残されていた経緯を調べると、昭和62年(1987年)に上石神井~西武新宿を複々線化する計画があり、それにより増強される車両の基地として安比奈に白羽の矢が立ったというのだが、結局少子高齢化でそれも頓挫と言うことだったらしい。
少子高齢化は、大手私鉄にも影響を与えていたとは知らなんだ。

この調子で、終点の安比奈まで行きたかったが、雨も降っているし根性もないしで、ここらで勘弁してもらうことにした。

あとはまた「小江戸」で帰るだけ。

本川越発もまた毎時40分であった。

 

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