華やかなり白い巨塔

コロナだろうが何だろうが、医学部なんて基本はこれよ。

いや、凄く勉強はしてきたんだと思う。
でも地位とか権力とか女とか、医者の世界がそういう世界だというのは色々な所から聞こえてくる。

今回のダークツーリズムは、そんな「白い巨塔」の世界の話、
時代は昭和25年となる。

この事件が最初に報じられたのは、昭和25年1月10日の北國新聞となる。

東大医学部助教授が旧正月に助手を随行して福井県の実家に帰省し、1月に入り東京に戻る最中だったという。
8日夜19:50、当時は北陸鉄道片山津線と加南線を分岐していた動橋駅を過ぎたあたりで晩酌に付け届けのウィスキーをキャップで一口飲んだ。
そうしたところ、助教授は苦しみだし、急遽小松駅で下車し、当地の医師の診察を仰いだが、死亡したのだという。

最初の見立てでは、疲労している所に強いウィスキーを飲んだために心臓マヒを起こしたのではないか、ということであった。

地元の保健所ではメチルアルコールを疑い検査したが、メチルではない・・・と言う所にもやはり時代を感じる。
また、偽ウィスキーではないかということで国警本部に送るということであった。

ただ、ニュースの扱いとしてはそれほど大きいものではない。
この社会面で最も大きく報じられているのは、地元の大企業・大同工業の横流し事件の裁判のニュースであった。

大同工業自体は現在でも盛業中で、プロバスケットボールチーム・ツエーゲン金沢のスポンサーにも名を連ねている。

この事件で青酸化合物が初めて出てくるのは、この3日後の北國新聞である。

国警石川県本部で鑑定したところ、ウィスキーから青酸化合物が検出されたというのである。
青酸化合物が入っていたとなれば、偽ウィスキーだのメチルの誤飲だのということはない。
明らかに他殺ということになる。

では、どのタイミングで青酸化合物をしこまれたというのか?

そもそも、このウィスキーは都内の薬品会社からのお歳暮として渡されたものであるという。
そしてそれは、上京中の助教授の母親に渡されて福井県に持ち帰られ、今般の規制の時に「これを飲みながら東京に行ったら」と渡されたのだという。

また、助教授の勤務先であるところの東大に関しても調べが進んでいた。

そもそも、師匠であるところの教授は同じ福井出身で良き師弟関係であり、教授の体感を機にその助教授が教授になるのではないかと目されていた。
しかしそれが紛争の種であったのではないか、という見立てもなされていた。

翌1月14日の北國新聞では、より踏み込んだ内容に迫られている。
それは、助教授をめぐる女性事情であり、映画女優まで絡んでいるのだという。

いやはやもってお医者さんの世界は華やかであることよ・・・

ところで、気になるニュースが入っている。
それは、お歳暮を贈ったとされる都内の薬品会社が「弊社では先生にお歳暮を贈った記憶はない」という。
また、ウィスキーは件のウィスキーの他に、もう1本あり、これも鑑定に回すという。

小見出しには「本舞台は東京へ」とはあるものの、依然合同捜査本部は小松にあり、捜査は続けられていた。
カバンに遺留されていたメモには、謎の文字がありそれが事件のカギを握っているのではないかという見立てをしていた。

翌1月15日の北國新聞では、今度は製薬会社の紛争が絡んでいるのではないか、と書いていた。

これまでは「誰が教授に昇格するかをめぐる派閥争い」「助教授の女性問題」が取りざたされてきたが、ここへきて新たに「ペニシリン研究をめぐる製薬会社の紛争」という説が入り込んできた。
それは、研究論文の争奪戦であり、買収のうわさもあったのだという。
また、ウィスキー自体が拒絶された(何を?)製薬会社から送られただの、この記事を書いてる記者もどこまでわかって書いているのか分からないような状況となっていた。

また、「旧六医大」として存在感を有していた金沢大学の教授は東大病院長と面会していたようで「鍵は居室にあり」と言うなど、これまた何が何だか分からないような状況となっていた。

また、ここでは数日前に「女性問題」として報じられていた中の一人とされていた助教授の身の回りの世話をする女性が出てきて、事件とは無関係である旨を主張していた。

さて、前日の新聞では「事件の舞台は東京へ」と盛んに書かれていたので、1月16日からは読売新聞の紙面から抜き出すことにしたい。

その1月16日読売新聞の紙面で報じられているのはそのものズバリ「容疑者捕まる」。
それは、東大の医局員であり、助教授と同じ口腔外科の27歳の医局員であった。

写真も掲載されているが、三浦友和に似たなかなかの男前である。

ただし、この医局員は学部から東大というわけではなかったようで、日本歯科医専の卒業であったという。
今般の助教授の帰省で随行していた助手よりも1年先輩であり、この「規制にも随行させてもらえるほど」可愛がられていたということに嫉妬して、この助手を陥れるべくウィスキーに独を混入したのではないか、という一次的な見立てがなされた。

また、助教授自身が裕福な実家を持つこの助手からしばしば借金をしており、品川に新築中の助教授宅も、この助手の資金力によるところが大きかったのだという。

このような状態にありながら、可愛がってもらえないとなると、それは殺意も起きるだろう・・・

翌1月17日・・・ちょうど45年後のこの日は阪神大震災という運命の日になる日の読売新聞では、前日の紙面とは全く違うトーンで報じられている。

それはひとえに、この助手の女性関係であるというのだ。
助手が逮捕されるのと同時に、その助手の情夫である19歳の看護婦も茨城県の実家で逮捕された。

犯行の経緯としては、助手が助教授の殺害を企て都内でサントリーウイスキーを購入、これに青酸化合物を混入して、都内の役員会社からの付け届けということにして助教授の机の上に置いたのであるという。

また、この事件の2年後に生まれる三浦友和似の助手には妻がありながら、別の看護婦にも求婚していたとということで、こ看護婦も厳しくマークされることになる。

この2人の女性の顔写真が大々的に掲載されている。
70年前の時代相とは、こうした人権観が全く違う時代であったということであろう。

ちなみにこの助手、結局は懲役15年が言い渡されるが模範囚として8年で出所し、医師免許を取得して名前を変えて開業医として活躍したのだそうな。

さて、ここからはダークツーリズムと相成る。

さて、粟津の児童館で尾小屋鉄道に乗ったら後はダークしてどこかに寄って今日の宿泊地である輪島を目指すだけ。

粟津12:05の普通列車に乗り、最初は小松で降りてカレーでも食べようかな・・・ と思っていたのだが、辰口の北陸鉄道の保存車両にもいってみたく、この12:05の金沢行きに乗ると時間的に丁度いいことが判明した。

小松はわずかな停車時間の間に決死するくらいにして、小松を通り越して能美根上まで行くことにした。
ウィスキーの小瓶という小道具を用意して、引っ付き虫まで用意して込み入った決死となったが、30秒の停車時間であまりにもあっけない決死となった。
決死モデル:チームYジャスミン特捜戦隊デカレンジャー出身)

今は寺井という駅名ではなく能美根上となっているらしい。
ちなみに、松井秀喜のゆかりの地でもある。
もしかしたら北陸鉄道能美線も知っているかもしれない・・・ と思ったが、松井の実家は能美線とは逆の海岸寄りにあるのだという。

そして、その能美根上からは「のみバス」というバスで辰口図書館を目指す。
少し前までは北陸鉄道のバスであったのだろうが、現在は色々な所に立ち寄りながら北陸先端科学技術大学院を目指す。

1時間近く乗った所で辰口図書館に到着。
屋根付きで綺麗な状態で保存されていた。
決死モデル:チームWB嵐山太陽戦隊サンバルカン出身)

これぞ北陸鉄道という感じの電車である。
また、この並びにバラスト運びの貨車も保存されていた。

あとは遅い昼食へと出向きたい。
最も近くにあるカレー店は、坂道を上った幹線道路沿いにあるようである。
結局、1kmぐらい歩いて到達した。

そしてカレー店からしばらく歩いて、北陸先端科学技術大学院大学行きのバスに乗ることに。
末端部を乗る客は少ないようで、運転手に「どこ行くんじゃ?」と聞かれる。
「宮竹東!鶴来駅に一番近いんでしょ?」と答えると、運転手はなんとなく納得したようだった。

そしてまた色々な所を経由して北陸先端科学技術大学院の少し前の宮竹東へ。
「この並木道をまっすぐ行くと鶴来駅だからね!」

結局また1km強歩く。
昔なら北陸鉄道能美線があったところ、今は北陸先端科学技術大学院のシャトルバスしかない。
果たして、鶴来駅のすぐ裏まで来ると、そこから鶴来駅に行けないのだ!

結局、1km近く大回りして、どうに15:24の野町行きに間に合うことはできた。
決死モデル:チームWBラジエッタ激走戦隊カーレンジャー出身)

野町からはすぐにバスが待っていた。
そりゃまあ、香林坊や片町から離れた所にある野町駅から電車に乗ってもらおうと思ったら、このくらい接続が良くなければいけないだろう。

兎も角も、野町駅をゆっくりとる暇もなくバスに乗る。

そして南町で降りて、金沢市立玉川図書館によって情報収集をしようと思う。
北陸鉄道加南線廃止の頃のニュースを採集しようと思ったが、大した釣果も無く。

結局、18:35の輪島特急バスで、今日の宿泊地の輪島を目指すことにした。
決死モデル:チームPユウリ未来戦隊タイムレンジャー出身)

 

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