【義手と義足の昭和史】芸術の秋(S30.10.24)

左腕切断でミスコンにチャレンジしようとされている白羽あいさんも、「ミロのヴィーナスは腕が無いからこそ美しい」と言うことを理解されている。

芸術というものは斯くも深遠なのである。

・・・なぜいきなりこんなことを書くかというと、今日は木曜日だが「水曜仕事」をやろうと思ったからである。
今日の水曜仕事は?

昭和30年10月24日の読売新聞夕刊では、4面トップでこの年の5月に発生した宇高連絡船紫雲丸事故の初公判が高松地方裁判所で開かれる旨を報じている。
ちなみに、拙ブログでも2019年12月12日に現地に行っている。

また、米軍立川基地の拡張に伴う測量が、東京都下の北多摩郡郡砂川町で流血を伴う猛烈な反対運動に遭い、延期されると言う事態になっていた。
これが「砂川事件」である。

しかし、この北多摩郡砂川町は現在立川市に併合されており、米軍立川基地自体も既になくなって昭和記念公園となっている。

そのような世相の中、東京・上野では第11回の日展が開かれていた。

その中には、「堀江六人斬り」で両腕を失った尼僧・大石順教の作品もあった。
拙ブログでも堀江六人斬りについては何度も取り上げている。

両手のない大石順教は、口で書をしたためたのである。
そしてそれが入選するはこびとなったのだ。

ちょうど現在、第9回の日展が開かれると言うので、乃木坂の国立新美術館に見にいこうと思う。

…第9回?
昭和30年の時点で第11回だったものが、なぜ今年第9回なのか。

そもそも、日展の歴史は、明治40年に開催された「文部省美術展覧会」(文展)に遡る。
これは大正8年に、帝国美術院の創設により主催が文部省からこの帝国美術院となり「帝展」となったが、昭和12年に帝国美術院の内部のゴタゴタで帝国芸術院として再発足、翌昭和13年に「新文展」としてまた第1回からリセットされる。

昭和20年には開催が見送られ、翌昭和21年に日本芸術院による「日展」としてまた第1回からリセットされることになった。
上記の新聞記事に出ているのはこの時の日展である。

しかしそれも長くは続かない。
日展の開催は日本芸術院から切り離され社団法人日展として再出発しまたここでリセット、昭和44年には日展の役員改組でまた「第1回改組日展」になる。
これは2013年の第45回日展まで続いた。

ところが2013年になり、入選作を選者の門下から選ぶ、入選には手土産が必要などという不正問題が発覚し文化庁が後援を打ち切るという事態に発展、日展の役員体制を大幅に刷新し、2014年からまたリセットしたという歴史を辿って今年の第9回に至る。

芸術の世界というのも世俗の権力欲から超然としていると言うわけではないようで、むしろそれが色濃く濃縮されているようだ。

ともかくも、今日は日展を見るために午前中は休みを取った。
そのついでに、市役所にパスポートを申請に行くことにしたい。

6時過ぎに目が覚めたのだが、のろのろと準備して出発する。

それで、市役所の最寄り駅に到着したが、窓口が開くまで時間がしばらくあるので、マクドナルドで一休みすることにしたい。

エリーが女子高生姿なのは、「マックで女子高生」ネタをやりたかったためである。
本当は失効前に申請していれば、戸籍謄本は要らなかったのだ。

そして9時が近づいたので市役所へ。
既に市役所は開いており、写真を撮って申請書を書いた頃にはもう9時を過ぎていた。

そして所定の申請を書いて窓口に出す。
終わったのが9時20分過ぎ。

ここから千代田線に乗って乃木坂を目指すことにする。
松戸からの千代田線は10時08分発で、ギリギリ座ることができた。

そして乃木坂へ。
乃木坂の駅は、6番出口がすぐに国立新美術館に直結しているのだ。

国立新美術館というのは、常設展は無く、特別の美術展のために場所貸しをしているという形態のようだ。

早速1,300円払って入ることにする。

最初は日本画から。

しかしみんな絵がうまい。
日展という日本で最高峰の美術展なので当たり前なのかもしれないが。

その中に、デッサンの崩れたダンプカーの絵などというものもある。
なるほど、このようなものも出展しているのか。意外に懐が広いようである。

そして、2階に行くと彫刻となる。
女性のトルソーもない事はなかったが、別にそれが主流と言うわけではない。もっと主流になってほしい。

そして、3階が書道。
大石順教は、この書道で入選をしたのである。
中国の篆書体のような書も多い。

もっと見ようと思えば、見るものもあるのだろうが、午後からは仕事になるので長居もできない。

この辺で失礼させてもらうことにする。
そんな木曜日の「水曜仕事」。

今回の決死出演は2名(累計38名)。


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