「仲立ち」という行為

アメリカに「悪の枢軸」として数々の制裁を受けているイラクは、結果として限界旅行勢のサンクチュアリになってしまった。

そのイランとアメリカの緊張緩和の仲立ちを、他ならぬ日本が買って出たのだという。
それで今月、安倍首相は意気揚々とイランへ旅立ったのであるが・・・

大体にして「仲立ち」という行為を簡単に買って出るということ自体がうさん臭さを禁じ得ないではないか。
「仲立ち」というのは、双方に対して発言力があり、なおかつ双方から信頼されていなければ成り立たないもの。

似たようなことは、5月28日のNewsweekでも指摘されている。

いわく、

もし緊張緩和に努力するつもりなら、安倍首相はまずトランプ氏にブレーキを踏むよう提案するところから始めなければならないはずだ。ところが、少なくとも公式の情報からはそうした様子が全くみえなかった。
ゴルフ場のカートでそんな話をしたという可能性はゼロではない。しかし、誰も聞いていないところで働きかけてもほとんど意味がない。「アメリカに働きかけた」というメッセージがイラン側に伝わらなければ、仲介役として信用されないからだ。

ともあれ、それだけに「仲立ち」という行為は「発言力を持ちたい」「信頼されていたい」という夢想を簡単に満たしてくれるマスターベーションの手段にもなりうるわけだ。
自分自身、世間から孤立した陰キャを何十年とやっていれば、自分の前に「仲を取り持ちたい」手合いが何人現れたことか。
そして、それらは一人残らず「マカ将君がちょっと世間に合わせてくれれば、もっとラクになれるのにね」と言うことを聞かせる方向での働きかけしかしないのだ。
いとも簡単に双方から信頼を得ようとする、小物がよくやるやり方とも言えよう。

そんな「仲介役」タイプは、基本的に「世間の評価」というものにこの上なく敏感に反応する。
その中の1人が、心を病んで、10年以上前にほとんど自殺みたいな死に方したんだっけか。
正直、あれは同情しかねるかな・・・

まあいいや。亡くなった人をそこまで悪しざまに言うものでもない。

ともかくも、安倍にしてもどれだけ下のスタッフがやりやすいのか分からないが、人間性としては「小物」であるとしか言いようがない。

結局、交渉の結果はどうだったかと言えば、

  • イランのハメネイ師からは「あなたの善意は疑わないが、トランプを交渉相手とは思っていない」
  • アメリカのトランプ大統領からは「あなたには感謝するが、イランとの取引は時期尚早」

これが「外交の安倍」の成果である。

・・・とはいえ、こういうのも何だか左右の口喧嘩のネタとしてしか消費されていないような気もする。

一人の市民として政治に参加することは絶対に必要であるにしても、それはTwitterの上で口喧嘩することだろうか?
実現したい政策があるのであれば、それに向けて動くことではないだろうか。
それはとりもなおさず「投票」ということになるわけだけど、投票したから政治参加は終わり、ということでもあるまい。
民主主義政体において、「権力をチェックする」ということは常に必要なのだ。

・・・で、お定まりの口喧嘩と相成ります、と。

それはともかく、実際にイラン料理を食べてイランへの理解を深めることにしたい。
イラン料理と言えば六本木の「アラジン」のランチバイキング。

ということで日比谷線に乗って六本木へ。

例の自民党2019の広告があったメトロハットの前を通って行く。
ちなみにメトロハットには今日は何も掲示物は無かった。広告料は結構なお値段がするのだろうか。

さて、「イラン料理」とある店へ行くと・・・

「日曜日は17時から」とある。
何で・・・

まあこんな仕事やってると曜日の感覚なんてあって無いようなものである。

そうなると別の店を探さないといけない。
iPadで探すと、どうやら自由が丘にあるらしい。
自由が丘かよ・・・

まあいいや、昼食だけどバイキング食ったつもりで5000円近く食い荒らしてやろう。
ということで日比谷線で中目黒へ行き、中目黒から自由が丘へ。

中目黒からの元町・中華街行きは西武6000系だった。

そして自由が丘に到着。
前に自由が丘に来た時はホームドアは無かったが、今は付いている。
決死モデル:チームTエリー

あの時は東武車で来て、東メト7000系を追い抜いたんだったか。
こうして私鉄業界もボーダーレス化が進んでいるのである。

さて、駅から歩いてすぐの店に行きましょう・・・

件のイラン料理店は、「自由が丘デパート」という商店街のような低層ビルの中にある。
この自由が丘デパートのマークが、まるで昔の東急の翼のマークの社紋を思い出させる。
そんな時代からあるのだろうか・・・?

さて、イラン料理店はその2階にある。
まるで大衆食堂のような面持ちすら感じる開放的な雰囲気である。
店内はペルシアンな感じの装飾がしてあったり、有名人のサインが所狭しと並べられてある。

さあ3000円でも5000円でも食いつくすぞー・・・!
と思ったら、ランチタイムはセットメニューしかない。

さすがに中東の国だけに、豚肉の無いハラールな食品ばかりである。
ちょっと羊の肉は苦手なので、チキンかヴィーガン系の料理を食べることとしたい。

これらの中で「フェセンジュン」という料理を頼んでみる。
何でも「くるみとチキンとザクロペーストでじっくり煮込んだシチューです」ということだった。

待つことしばし、これが「フェセンジュン」である。

確かに、東アジアには無いような香味を感じる。
ザクロは中東ではおなじみのフルーツのようで、日本にもペルシャ料理系の店名に「ザクロ」を使った店は数店舗あるようである。

そしてサフランライスは長粒のインディカ米で炊いてある。
〆てこれで1,500円也。
まだまだ目標の半分にしか達していない。

食い足りないので、ファラフェルを頼んでみる。
これはひよこ豆のコロッケとなる。
アラブ諸国とイスラエルは非常に仲が悪く、常に極度の緊張関係にあるが、食に関する戒律がやたら厳しいことは共通しており、その結果ベジタブル料理がやたら発達していたりする。

ところで、常連客らしき男性が水煙草シーシャを吸っている。
どうせイランらしい体験をするのであれば、自分もやってみるか・・・

水煙草の器具は大掛かりで、到底持ち歩けるものではない。
下に水を貯めた花瓶状の部分の上にパイプを通し、その一番上でフレーバーの付いた煙草を燻して、その煙を水を通して吸う、という仕組みになっている。
中東は暑い国が多いので、水で煙が冷やされる水煙草がポピュラーなのだそうな。

そして、リンゴやバニラやミントなど、どのフレーバーが良いか聞かれる。

「イランじゃどれが一番メジャー?」
「そんなものはないよ。人それぞれ好きなのを選べばいいよ」
どうせなら、とことんまでペルシャらしくザクロの味にしてみようか。

程なくして巨大な水煙草が準備され、もぐさの灸立てのような煙草が用意される。
結構な煙を吸うと、結構息苦しい。

しかしこれが中東の味なのだ。
バイキングにありつけなかった怒りが吹っ飛んでしまった。

考えてみれば、自分はどこへ行っても「お客さん」で、「中の人」になっても碌なことがなかった。
これからも、こうして色々な所を流浪して生きるのだろうか・・・
旅こそが人生、ね・・・

徹夜案件後でハイになっているせいか、余計な考え事までしてしまった。

さて、今度は昨日忘れたスマホを取り戻しに行きましょう。

端末検索によればスマホは7時間以上前に北千住で消息が途絶えている。
中目黒の駅員に聞くと「中目黒で昨日亡くしたのであれば、今日はもう飯田橋の忘れ物センターに行ってると思いますけどねー」という。

では飯田橋を目指そうか。

中目黒からは、茅場町まで日比谷線に乗ってそこから東西線に乗って飯田橋へ行く。
飯田橋も東西線と有楽町線と南北線が交差する駅で、かなり構内は広い。
かなりあるかされて、最果ての南北線のホームの近くに忘れ物センターがあった。
決死モデル:チームR小沢

センターでは無くした状況を聞かれたが、接客は「鍛えられた接客」という感じだった。
それ以外に言葉が見つからない。

いずれすぐ見つかったので、丁寧に礼を述べる。
「ところでどちらへ行かれる予定ですか」
「あ、定期券のある所まで・・・」
「でしたらそこまで乗車券を出しますので」

そんなことまでしてくれるの・・・
なんだかもう、こんな忘れ物客のために至れり尽くせりだな。

結局、そこまでして乗車票まで出してもらったのだが、結局は千代田線で立っていられる体力的自身が無く、新橋で夕食の後にグリーン車に課金して帰ることにした。

 

 

関連するエントリ(とシステム側で自動的に判断したもの)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です