さてベトナム旅行も2日目である。
Robert Capa en colores: una muestra sobre el gran fotoperiodista del siglo XX https://t.co/ire5mij0cY pic.twitter.com/hCgBxAe2MZ
— Infobae Cultura (@InfobaeCultura) 2017年9月26日
前の晩、ホテルのフロントでタクシーを頼んでいた。
「明日の朝は3:50にお願いします」
「何でそんな早くに?」
「下龍に行く列車が出るんです」
下龍湾と言えばベトナムでもかなり著名な観光地である。
「下龍湾に行くなら、そんなに早起きしなくてもバスがいくらでもありますよ」
「いや、下龍に列車で行きたいんです」
やれやれといった感じでホテルマンに了解してもらった。
そんな河内の2日目の朝は、ものすごいスコールであった。
タクシーはそんなスコールの中を、始発駅である安園に向けて暗闇をついていく。
ちなみに安園というのは、昨日到着した龍辺駅のさらに先の嘉林駅の、そのまた先にあるという、河内の中でも恐ろしく外れた所にある駅である。
特に中国への貨物駅という性格が強いようであるが、メーターゲージがデフォルトのベトナム国鉄にあって、中国につながる河内~同登の路線や、それにつながる下龍への路線だけは1435mmの国際標準軌(中国の鉄道と同じ)なのである。
さて、スコールの中を安園の駅に到着した。
(決死モデル:チームR真夜)
ところでなぜ敢えて、このような早起きをしてまでこの列車に乗ろうと思ったのか。
それは、南満州鉄道の最後の現役客車がこの路線を走っているという情報を聞いたからである。
なるほど確かにこれは満鉄スタイル・・・
ちなみに客は自分1人である。
列車は下龍に向けて出発する。
2駅目の林のあたりで夜が白んできた。
北江に到着。ここは5分程度の停車である。
(決死モデル:チームWBノノナナ)
北江は北江省の省都で、10万人以上の人口があるようであるが、列車はこの下龍行きと、中国国境の同登行きを合わせて数往復。
もうほとんどの人的移動は、バスにお任せになっているようであった。
ところでこの満鉄客車、扉が3つになっているが、中扉はベトナムに来てから新たに付けられたものであろうか。
旅客輸送より、荷物輸送の需要が多いようである。
列車は尚も東を目指す。
𠄳までは、同登までの本線を走る。
そして、その分岐駅に𠄳に到着。
(決死モデル:チームTヤギー)
ここで方向転換になり、機関車の機回しのために停車時間が長い。
ついでに、「最後の満鉄客車」の側面を余すところなく見ていただくことにしましょう。
この客車は両端がオープンデッキになっているようである。
ここからは下龍への支線となり、旅客列車は1日1往復となる。
それにしても、ベトナム国鉄には古い木造駅舎というのがあまりない。
ベトナム戦争でほとんどなくなってしまったのだろうか。
そのあたりは韓国でも事情は似通っていて、1950年代以前の建築物がほとんどないのである。
というか、古い建築物に対する意識の違いであろうか。
蘭苗でも荷物の積み込みを盛んにやっている。
物は野菜が主のようである。
これらを下龍かどこかで売るのだろうか。
なかなかアジアンな風景であり、これだけでもベトナムに来てよかったと感じさせられる。
需要としては、終点側(下龍?)への行商が主になっているようであり、客もだんだん増えてきた。
列車は鈍行列車然と南東方向を目指す。
そして今度は冒渓で10分ぐらい停車。
(決死モデル:トルソーさんのメア)
ここでは荷物の積み出しが主のような気がした。
よほど大きな町なのだろうか。
調べてみると、自治体としては広寧省の東潮市社という所にあるらしい。
そして、市社としての人口は17万人ぐらいいるらしい。
それで鉄道はこの1往復というのはあまりに寂しすぎる。
やはりバスに乗客を取られているらしい・・・。
それもそうか。何しろこの列車は始発から終点まで7時間ぐらいかけてゆっくり走る。
バスなら数時間で結ぶ距離である。
ではこの列車の存在意義は・・・?
そんなこんなで、11時頃に終点の下龍に到着。
(決死モデル:トルソーさんのファラキャ)
1日1往復しかない駅にしては随分と立派な駅である。
いずれはハロン湾へのアクセス駅に・・・ という夢でもあるのだろうか。
さて、12時に発車する戻りの列車でゆっくり戻るのも良いが、ここはバスで海防へ行き、海防~河内の列車にも乗りたい所である。
ということで、これからやることは𡍣車buýt(バスターミナル)を探すことである。
「地球の歩き方」によれば、この駅のすぐ近くにあるはずなのだが・・・
と思ったらあった。
「バイチャイのバスターミナル」とはここの事であろう。
(決死モデル:チームR小沢)
看板には「Bến xe khách bãi cháy」とある。
𡨸喃で言えば「𡍣車客𡓁𩶪」と言ったところであろうか。
さて、バスという乗り物は鉄道よりもさらにドメスティックな性格を持つ乗り物であると感じさせられる。
バスターミナルの女職員はまるで英語が通じない。
女職員はベトナム語の通じない自分にかなりいら立っている。
すると、やってきたミニバスの運転手に、
「この人海防に行きたいみたいなのよ!乗せてってあげて!」みたいなことを叫んで、
「ほら、あのバスに乗って!」という感じで、厄介払いをするようにミニバスを指示した。
ちなみに運賃は10万銅。
はたして小一時間バスに乗ったところで海防の駅に到着。
(決死モデル:チームPみく)
海防の駅は、コロニアルな感じの良い駅舎である。
フランス植民地時代からこの駅舎だったのだろうか。
河内への列車も、1日5往復とベトナムにしては頻繁に出ている。
ちなみに、ベトナムの列車等級は「𣟮」(mềm 軟)と「𠠊」(cứng 硬)、「𡎢」(ngồi 座席)と「𦣰」(nằm 寝台)があり、「𣟮𡎢」と言えば中国で言う「軟座」つまりグリーン車ということになる。
首尾よくこの「𣟮𡎢」切符を買い車内へ。
河内行きか、その1つ手前の龍辺行きかは、曜日によって違うようで今日は龍辺行き。
快調に走っていると思ったら、どうやら踏切で車にぶつかったらしい。
別に今日は後の予定が詰まっているわけでもないのでいくら遅れても構わないが、これが「今日中に柴棍行きに乗らないといけない」なんてことになっていたら、気が気ではなかったであろう。
それでも事故処理が済んだらしく、列車はまた動き出す。
列車は沿線最大の駅・海陽で10分ほど停まる。
(決死モデル:チームR天美)
海陽は、海陽省の省都であるが、人口は5万人強であるという。
つまり午前中に通ってきたハロン線沿線の都市よりも人口は少ないということらしい。
さて、列車は快速列車であるようで、またハロン線よりは競争力があるようで、止まらない駅も何駅かある。
終点・龍辺の1つ手前の嘉林で10分程度の停車。
数十分程度の遅れで、列車は龍辺に到着した。
(決死モデル:チームWB小津麗)
後には入れ換え用の機関車が付いていた。
どうやら、さっきの嘉林での10分停車はこの機関車を付けるためであり、車庫への回送は推進ではなく、この入れ換え用機関車で引っ張るということのようだった。
さて、ハロン湾クルーズをするわけでもない、乗り鉄に始まり乗り鉄に終わった今日の旅程はこれで終了である。
あとはホテルに帰るだけ。