オリンピックの開会式もあと10日となったと言うところで、その開会式の音楽スタッフが発表され、作曲担当はコーネリアスの小山田圭吾になったのだという。
小山田圭吾って?
あの壮絶なイジメを雑誌でヘラヘラ語ってた小山田圭吾のこと?
ネット上は当然、ほぼ小山田圭吾の非難一色となる。
そりゃそうでしょうね。
しかし中には、「あれは90年代の悪趣味ブームの一環だったから仕方ないのだ」と言う擁護論も散見される。
言うほど「悪趣味」なんてブームになっていただろうか。
あるいは、自分自身がそうした「悪趣味」に染まりすぎているから、感覚が麻痺しているのだろうか?
そうしていると、カヘヲレさんが、当時の悪趣味ブームを物語る宝島社のムックを引っ張り出してくれた。
別冊宝島の「トンデモ悪趣味の本」が出たの96年ですしね https://t.co/olLBmHCZbs pic.twitter.com/ZXp3z4HRoH
— かへヲレ (@kahewore) July 17, 2021
あーこれ覚えてるわ。
宝島社のムック自体、いろいろなテーマで出ており、10代から20代の頃の自分は結構面白がって読んでいたものだった。
社会はテーマもあったんじゃないかな。
その中でも、「悪趣味の本」と言うのはまさに大学の頃に出された本であった。
その中で、義足とか出てこないかなぁと期待して買ったらやっぱり出てきたのだ。
確か、筆者が静岡の伊豆かどこかの売春宿に行ったら、美人だけど片足が金属つまり義足で、それでも売れっ子なのだと言う記事であったはずだ。
そもそも、当時の自分にとっても、義足に興味を持つと言うことが悪趣味であるという認識があり、なおかつその悪趣味な本の中に義足は実際にあったわけで、つまりは「悪趣味」と言うコンセンサスがほぼ世間的に出来上がっていたと言うことになる。
このように、興味本位で見る自分も自分なわけだが、当事者からしてみれば、不幸にして手足を切断することで「悪趣味」やら「モンスター」やらと言うカテゴリに否応なく入れられてしまうと言うことになるのだろうか、と心を痛めたものであった。
もし義足の女性がいたら「あなたは決してキワモノでもモンスターでもないよ」と声をかけてあげたかった。
そこから21年が経過した2017年、両脚切断のμちゃんが、水着グラビアで出ると言う。
それは、「実はナックルズ」と言う、どちらかと言わなくても裏モノに属する雑誌であった。
切断障害者が水着グラビアで出ると言うのは、それはエポックメイキングなことなのかもしれない。
しかし、結局はナックルズみたいな裏モノ系の雑誌でしか無理なのか。
別に雑誌に貴賎があるわけではないだろうが、マガジンとかサンデーのグラビアじゃダメなのか?
当のμちゃんは、グラビア掲載を喜んでおり「買ってね」と盛んに宣伝してはいたが、自分は、この21年間の社会のアップデートされてなさに暗澹としたものであった。
結局、体がどっか欠損していたら「裏モノ」よくて「福祉」の枠組みでしか語ってもらえないのか?
そんな解せない思いも感じたものだった。
これまた「私的devotee史」。