今こそ読みたいジョージ・オーウェル「1984」

11月に首相在任憲政史上最長を迎えようとしている安倍首相がまたぞろ内閣を改造。

「恥を知りなさい!」の三原じゅん子の入閣は見送られたとして、防衛大臣には外務大臣の河野太郎が横すべり、文部科学大臣には人もあろうにモリカケ問題の渦中にある萩生田光一、環境大臣には「質問0、議員立法0、質問主意書0」の小泉進次郎という、恐るべき人事が断行され、この人事をして菅官房長官は「適材適所」と言ってのけたのである。
また、地方自治においても、その菅官房長官の意を受けたであろう横浜市長の林文子が圧倒的多数の市民の反対にもかかわらずカジノ誘致を強行しようとしている。

それであるにもかかわらず、冒頭の通り内閣支持率は「55%に上昇」・・・
何が良くてここまで現政権が支持されるのだろうか?

かなり多くの人が指摘しているのだが、最近の安倍政権は、ジョージ・オーウェルの小説「1984」の描くディストピアに似てきていないか・・・?


そんな今こそ「1984」を読み直してみたいと思う。
このジョージ・オーウェル「1984」は、1949年6月8日にイギリスで出版された小説であり、日本語訳は1972年に早川書房により発行されている。
執筆は第二次世界大戦が終わって間もない1947~1948年になされたというが、その時点から「1984年」を描いた、いわば近未来小説となる。

大戦後の世界は、「オセアニア」「ユーラシア」「イースタシア」の超大国に分けられることになり、それまでイギリスやアメリカが属するのは「オセアニア」。
イギリス以外のヨーロッパやソ連が属するのは「ユーラシア」、中国などアジアの国が属するのが「イースタシア」。

それまで「ブリテン島」と呼ばれていた「エアストリップ1」という島の最大都市であるロンドンの「勝利マンション」に住むウィンストン・スミスという39歳の男がこの小説の主人公である。

街やアパートの至る所にはそのオセアニアの宰相である「ビッグ・ブラザー」のポスターがあり「ビッグブラザーがあなたを見守っている!」という文字が躍っているという。
また、党員(作中では上級国民のような扱いらしい)の家々には「テレスクリーン」が置かれ、「党」による大本営放送が日々行われている。またそのテレスクリーンは、党員の家々の様子も見ることができるらしい。
だから、たとえば毎朝の体操をきちんとしていないと、体操の先生が「こら!そこ!」と怒ってくるわけである。(ただ、体操の先生にしてみれば視聴者のどれだけの動作を監視していることができるのだろう? 体操を教えながらいちいちテレスクリーンの向こうを監視している、というのは、それはそれで手間のかかることのような気がするのだが・・・)

また、下級ながらも党員となっている主人公ウィンストン・スミスは「真理省」という中央官庁に勤務し、日々新聞の書き換えを業務としている。
新聞記事で政権に都合の悪いことが発生すれば、それは過去にさかのぼって書き換えられるのだ。だからユーラシアには「歴史」と言うものが存在しない。
そして、政権に都合の悪い人物が出ると、知らない間に存在を完全に抹消される
また、一般国民である「プロレ」に見せる映画や小説、果てはポルノまで製作しているというのがこの省庁の業務となっている。

また、中央官庁には「豊富省」というのがあり、経済政策をつかさどっている。
テレスクリーンでは「これまでにない豊作となりました!」と発表するが、実際には「チョコレートの配給を3分の2にします」と・・・
また、「愛情省」という官庁は司法の番人であり、「有刺鉄線で覆われており、用が無ければ行かない所」という主人公による描写がなされている。

主人公はこのような国の状況に疑問を感じ、部屋のテレスクリーンの死角で日記を書き始める。しかしその「日記を書く」という行為は「思想犯罪」として禁じられていた。思想犯罪を犯せば「愛情省」の警官がすっ飛んできてどこかへ連れて行ってしまうわけである。

現在、日本のどのジャーナリストも「日に日に報道の自由がなくなっている」といい、事実、「報道の自由度ランキング」では、安倍政権になってからというもの、どんどん自由度が下がっており(野田政権で22位だったものが第2次安倍政権で53位)、それ以降は年々順位を下げているという状況である。

そんな安倍政権を支えているのは、「仲間内で仲良くしていれば分け前に与れる」という貴族政治アリストクラシー縁故主義ネポティズム以外の何物でもない。
なぜこのような政権が「憲政史上最も長く」政権を維持できるのか理解できない。
「野党がだらしないから」という意見も聞くが、そのような憎悪の対象を少数派に向け、多数派にいて安心していたいという日本人の心性もまたこの安定政権の増長に与しているのではないだろうか。

今日はその「1984」を彷彿とさせる風景を、永田町や霞が関から読みだしてみたい。

まずは日本国「真理省」から。

この日本で1984の「真理省」に当たるのは、首相官邸になるのではないだろうか。
決死モデル:チームWBノノナナ

今、ネットのニュースで「官邸 統計」と検索するだけでも、こんなニュースが出てくる。

その「真理省」から国会の正面に回り、桜田門へ下ると日本国の「愛情省」となる。

愛情省は何と言っても警察庁。ちなみに桜田門にあるのは「警視庁」であり、「神奈川県警」「大阪府警」同様に、東京都の治安を守る現場機関であり、それらを統括する「警察庁」という役所は、この桜田門の庁舎の奥の合同庁舎第2号館となる。

最近はこんなニュースがあった。

そして桜田門から国道1号線を通ると、日本国の「豊富省」となる。
豊富省に当たるのは経済産業省であろう。

経済政策と言えば、「日本の競争力低下は高い賃金にある」という言い訳の下に、世界でも例を見ないほど労働者の賃金が抑制されてきたという最近の経緯がある。(いや、これは経済政策というより労働政策か)

いずれ、この経済政策ひとつとっても、安倍や麻生と仲良しの竹中平蔵などが政権に取り入って政商として諸々の利権を手に入れ、かたや庶民に対しては「皆さんは貧しさを楽しむ権利がある」「成功している人の足を引っ張らないでもらいたい」などと放言しているではないか。

かたや、この9月に至って厚生労働省では「非正規労働者」という言葉を使うなという指示が出されたのだという。

これはまるで「1984」作中の「戦争は平和である」「自由は屈従である」「無知は力である」の新語法ニュースピークではないか・・・!
このように、何から何までが「1984」の世界になろうとしている。

最後は、日本国の「ビッグ・ブラザー」を領袖に戴く「党」の本部にて。

いみじくも、有り得ないほど美化された「ビッグ・ブラザー」の絵が大々的に飾られている。

杉田水脈のLGBT騒動の時、ネトウヨキッズたちが次々と入党していたが、これからはそんな「野党に憎悪を向ける」層が自民党の主な支持層になってくのだろうか。

本当に、これからの日本はどうなりますやらね・・・

 

 

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