上智大学で切断ヴィーナスのショー

浅草橋のABCDを早々に辞去して行く先は四谷である。

・・・といった次第で、いわゆる南千住マターである。

義足陸上チーム「ヘルスエンジェルス」の切断ヴィーナスショーを、上智大学の「All Sophian’s Festival」で行うのだそうな。
副題として「バリアを超えていこう!」となっているのだが、いっそ「バリアを超えてゆけ」としてしまうと、恋ダンスになってしまい、著作権上面倒なことにでもなっただろうか。

要は、上智大学の学園祭の一つの出し物ということである。

しかし上智大学っていうとねえ・・・

バイリンガルのタレントさんとか女子アナとか沢山輩出してる所だからね・・・
物凄くキャンパスが華やかなんでしょうかね・・・
キャンパス中いたるところに早見優とか西田ひかるとか安良城紅とか島田彩夏とか大橋未歩とか小出美奈みたいな知的な美人が歩いてるような夢のような場所なんでしょうかね・・・?

実際、行ってみたところでは、まあ確かに華やかな美人さんがいないわけでもなかった。
でもそれ以上に、おとなしそうな感じの子が多かった。
そりゃそうだよな。文系学部だと早稲田や慶應に並ぶ偏差値の大学である。勉強に明け暮れてないと、そもそも入れないような大学である。ここは。
・・・まあいいや、このキャンパスを歩ってる女子大生が派手だろうが地味だろうが、当方がいちいち評定する筋合いにはない。大学はあくまで勉強する場所である。

さて12時半になりました。いよいよショーの始まり。

今回の司会をするのは、何とミスユニバース神奈川大会のファイナリストであるという白濱絵里奈さん。
・・・やはりこういう所が上智である。
上智は美人には事欠かないのだ。
自分が田舎の受験生の頃、上智大学は女子大学だと思っていた。
周囲にもそんなクラスメートはいた。基本、上智を目指すのは、家が金持ちで英語が得意な女子というのが相場だった気がする。
いやだから、そういう話は良くて。

最初に登場するのは、南千住の施設公開でもおなじみのヘルスエンジェルス村上清加さん。

慶應の山中俊治研究室の義足プロジェクトでモデルをされたのもこの方であり、最近は綾瀬はるかとCMに出るなど、すっかり有名になった感がある。

・・・というか、何でそんなことをいちいち自分が知っているのか、ということである。
あくまでこれは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れた、障害者スポーツの普及啓発イベントである。
自分が今ここに来ているというのは、言うなれば小学校の運動会に「父兄じゃない人」が入り込んでいたり、女子高の文化祭に「家族じゃない人」が入り込んでいるようなものではないか・・・? 少なくとも小学校とか女子高じゃその手の対策は結構してるというしね・・・ 向こうではそう認識してるんじゃないのか・・・? と勝手に被害妄想に陥る。
まあいいや。毒食えば皿まで・・・というか、別に迷惑を掛けなければいいだけの話である。
自分の視線を相手がどのように感じるか、それは相手に委ねるしかないのである。

次は大学生の阿部未佳さん。
写真集「切断ヴィーナス」でも登場された下腿切断の方である。
自分も、この写真集を紀伊国屋書店で、それこそエロ本買う中学生のような心境で買いに行ったものである。
あの写真集のイメージでは、未佳さんはホンワカしたイメージであったが、今回出られた印象は、凛々しさを感じた。むしろ怖い?
まさか「泣ぐ子はいねが~ 変質者はいねが~」と鵜の目鷹の目だったというわけでもあるまい。(たぶん)
この切断ヴィーナスのショーは今回が初めてではないのだそうで、モデルとしてそれだけステージ慣れを重ねているということなのだろう。

次は須川まきこさん。
普段イラストレーターをしておられ、関西人らしく気さくな方である。
4月の初めには個展にもお邪魔した。
写真集「切断ヴィーナス」にも出ている。

今回も、ご自身でデザインしたタイツをまとい出場である。
しかし股義足でも杖なしで歩けるってのは凄いね・・・

須川さんは、今回の衣装のデザインにも多大に参画したのだという。
重ねて言うが須川さんは気さくで素敵な方である。

お次は両脚義足の渡邊珠美さんという方で、写真集「切断ヴィーナス」には出ておられなかったかと思う。

パラリンピックだと、陸上競技は大腿切断がT42(村上清加さん、大西瞳さんなど)で、下腿切断がT44(高桑早生さんなど)になる。
では両脚切断は・・・?
あと、T42とT44の間にT43というクラスがありそうに思えるが、膝離断だとこのクラスに入るとか?
んなことは別にいいか・・・

次は、小林久枝さんという下腿切断の方である。
写真集「切断ヴィーナス」にも出ている。
印象としては、姐御・・・ というか、もっと直截的に言えば「極道の妻たち」の岩下志麻系の感じがする。
じっさい、写真集でもいなせな法被姿で出ていた和風美人でもあり、職業は保土ヶ谷で一品料理屋の女将をやっているようである。
じき行ってみたいと思うけど、邪険にしないでいただければ幸甚なところ。

そして最後を飾るのは、NHK「バリバラ」でもおなじみになった大西瞳さんである。

「バリバラ」の企画では、エステ店に行き、「片足なので半額にしてください」と敢然と言ってのけた度胸の持ち主である。
まあ何と言うか、先述の村上さん同様、有名な方なので・・・

あと、個人的な事を言えば、同い年ぐらいだったはずなので、パラリンピックでもぜひ頑張ってほしいと思っている。

第一部の最後は、オールスターキャストが勢ぞろいして写真に納まる。

次は第2部で、トークショーである。

出演するのは、司会の白濱さん、カリスマ義肢装具士の臼井さん、ヘルスエンジェルスから大西さんと須川さん、上智大学理工学部の先生という布陣である。

司会の白濱さんは、義足に関しては「素人」という観点から色々な質問をぶつけていく。

--義足制作の上で大切なことは?
(臼井)個人の生活にあったものが大切。須川さんは絵を描く仕事。大西さんはアスリート。使う人の生活を考えることが大事。

--義足ならすぐ歩ける? どのくらい練習が必要?
(大西)すぐ歩けると思ったが、杖で歩けるようになるまで半年。杖なしで歩けるようになるまで3年。速く走ろうと思えば5年はかかるだろう。

--普段の仕事は?
(大西) 公務員。義足は見せびらかさない。夕方からは義足で陸上の練習。
(須川) 絵を描いている。

--衣装は須川さんがデザインした?
(須川) 皆さんに合わせてデザインさせてもらった。タイツに関しても同じ。

--かっこいいですね。義足をファッションとして見た人はほとんどが初めてだと思うが、今後の思いは?
(臼井) 今日ステージに出た人はスポーツや絵で個性を出せる人。ほとんどの人は足を隠している。それは少しずつ変わっている。義足の人が6名も7名もステージに上がったのは、日本が初めてではないか。これまでに全国で6回開催されている。今後も2020年の東京オリ・パラに向けてやっていくことになる。

トークショー終了後、須川まきこさんにあいさつに伺う。

「あら、どうも、初めまして」
「いえその、初めましてでは・・・」
「あああー!個展にも来ていただいてましたね。前と全然雰囲気が違うから・・・」

顔を覚えて頂いていなかったショックより、
どうやら(今の所)変質者とは思われていないようだという安堵の方が大きかった。

次回もぜひお伺いしたい所である。

 

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