【ブックレビュー】隊員服を脱いだ私(ひし美ゆり子)

今や、

  • 渥美清 → 寅さん
  • ひし美ゆり子 → アンヌ隊員

と同様に、

  • 松重豊 → ゴローちゃん

という図式が出来上がりつつあるような気がする。

当たり役が一つでもあるということは、俳優冥利に尽きることなのかどうかよくわからないが、「アンヌ隊員」ひし美ゆり子は、そのあたりをどのように考えていたのだろうか。

そのあたりを、ひし美ゆり子さんの著書を追ってみることとしたい。

(モデル:チームTアンヌ

ひし美ゆり子さんの著作としては「セブン セブン セブン」に続く2作目となる。

この「セブン セブン セブン」上梓時の裏話や、「ウルトラセブン」後のキャリアや家庭について飄々と、それでいて赤裸々に描いている。

その美貌の割に女優業に大して執着がなく、自らを「OL女優」と称しているが、当時の撮影現場の雰囲気がわかって楽しい。東宝と東映の現場の雰囲気の違いとか。
果ては中華料理屋の店主夫妻に収まってからの話にまで言及しており、女好きな旦那さんのことまで肩肘張らずに書いている。女の家まで行って靴を全部窓から投げ捨てただの。

また、「裏話なんてファンが興味をもってくれるのだろうか」と言っているほどオタク事情には疎かった模様で、ご自身も覚えていない細かいシーンや撮影地まで覚えているファンに、カルチャーショックと感謝を覚えているようであった。

最後の「第10章 ゆり子のメモリー」は、昭和22年に生を受けられて本書を出版する平成12年までの出来事とその印象を記しており、それは正に「戦後史」そのものである。

  • (S25)山本富士子 ミス日本に選出
  • (S27)もくせい号事故
  • (S30)トニー谷長男誘拐事件
  • (S33)勤評闘争、フラフープ流行
  • (S34)皇太子殿下御成婚
  • (S35)60年安保、尾関雅樹ちゃん誘拐事件
  • (S36)ガガーリン「地球は青かった」
  • (S37)三河島事故
  • (S38)吉展ちゃん誘拐事件、ケネディ暗殺
  • (S39)新潟地震、ミロのヴィーナス来日、東京オリンピック
  • (S41)BOAC機富士山空中分解事故
  • (S43)国際反戦デー新宿騒乱事件
  • (S45)よど号ハイジャック事件、プリンス号シージャック事件、三島由紀夫自決
  • (S46)全日空機雫石事故、大久保清事件
  • (S47)沖縄返還
  • (S48)オイルショック
  • (S54)三菱銀行立てこもり事件
  • (S55)大平首相死去、新宿西口バス放火事件
  • (S59)ロス疑惑
  • (S60)阪神タイガース日本一
  • (H5)阪神大震災、地下鉄サリン事件
  • (H14)日韓サッカーW杯

 

 

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