いつぞや、「自分を野原ひろしだと思い込んでる精神異常者」と呼ばれていた漫画は、実は「クレしん」の正式なスピンオフなのだという。
動画まで使って その面白く無さを説明されているという徹底した悪評ぶり。
「孤独のグルメ」の二番煎じを狙ったかどうかは分からないが、やはりサラリーマンの昼食をテーマにしているのであるが、クレヨンしんちゃんの舞台の春日部でなおかつ「孤独のグルメ」といえば、忘れてはいけない人がいる。
その名は「酔狂老人卍」氏。
食べログでその難解な文章で独特の存在感を放っている。
拙ブログ風に振り仮名を振ってみるとこんな調子である。
これや!このッ! 豬肝が韭菜と 剖れては 脆と油煠げて 合ふ麥酒の菜に
毉“塚狂七六福耳庵師“。※假稱
その論評を耳にするや、俄頃に色めきたち、
「猿眞似」の誹りも懼れず、”韭菜炒豬肝“に。
但し、米飯を避けて”啤酒“。
麥酒は”麒麟牌“の大瓶のみ。
あまりの潔さに脱帽。
“韭菜炒豬肝(=こみらとぶたきものいためもの)”と都合、
對價、一千二百五十圓也。劈頭に、
“麒麟啤酒“と”煠魚餠(=うをのねりものあぶらあげ)”。
“煠魚餠“の上には、蘘荷末と生薑泥。
“煠魚餠“は適度く燙められ、數滴ほどの醬油を滴下して一噛。
實言、相互に調和ひ、心持よきかぎり。
善哉、善哉!
俟こと霎時。
注文品が此方に、、。
寔、噂に無所相違きその姿!
上漿→衣→油煠、と云ふ做法なるべし。肝臟の臭氣は巧妙に抑制られ、鹹と鮮に溢れて脆と齒觝觸。
對照之、蔬菜は嫩く淡味。
韭 、糵、胡蘿蔔絲、これなり。
これには、肝裂魄飛。
もはや、絶句ほか術なし。
「糵の根が、、」
などゝ、努々、野暮を演述ひたまふこと勿れ!
と、感慨に耽溺る遑もなく、”蕗“に”蕗未醤“、”白菜の腌菜まで。
掉尾には、必殺技の”梅乾“。
御内儀の手製は勿論。
・・・と、すべてのレビューがこういった調子なのである。
恐らくは単なる中華料理店なのであろうが、ここまで漢詩的に書けるというのはもはや才能であろう。
ちょっと行って、その「韭菜炒豬肝(=こみらとぶたきものいためもの)」 を食べることにしたい。
ということで新八柱から武蔵野線の中の人となる。
そして南越谷で降りて東武に乗り換える。
(決死モデル:チームY間宮)
ところで、ここは南越谷であると共に新越谷でもあるわけだが、地元の人にとってここはどういうのだろう?
そんな疑問は、東武の新越谷に行ってみて分かった。
病院の広告は悉く「南越谷」なのだ。
越谷市のここの地名は、「南越谷」というようである。
また、少し離れた所に「新越谷」という地名が別途ある。
まあ確かに、東武にしても、越谷駅の北には北越谷駅があり、南越谷の方が整合性があるようにも思える。
それはともかく、中央林間から来た急行に乗って春日部を目指す。
発車メロディがクレヨンしんちゃんのテーマで、かつて奥州街道の粕壁宿としてにぎわった春日部は「クレしん」で町おこしをする肚のようである。
それにしても春日部駅のこの国鉄駅のような雰囲気は良い。
今や下手なJRの駅以上に国鉄的な雰囲気が残っている。
そして駅の表口に出る。
駅前には埼玉県東部ではおなじみの朝日自動車が停まっており「かすかべ温泉行」のバスとなっている。
春日部にも温泉があったのか。
そして少し行くと、「サトーココノカドー」となる。
(決死モデル:チームTレナ)
かつて、北春日部というか杉戸にあるイトーヨーカドーの体育館に行ったことがあったが、ヨーカドーとこの界隈は切っても切れない縁があるようである。
現在、春日部店は「クレしん」とタイアップして、埼玉を舞台とする漫画の展示をやっているようである。
とは言っても、あくまでクレしんがメインで、他のアニメは1作品だけ申し訳程度に鎮座しているという感じだった。
話題の「翔んで埼玉」は無かった。
さて、では目的の中華料理店に行きましょう・・・
例の中華料理店は東武線の向こう側にあるので踏切を渡らないといけない。
それにしてもいい雰囲気の踏切である。何か7800系やニャンコが今にでも走ってきそうな雰囲気すらある。
(決死モデル:チームRナオミ)
・・・と、後ろからおばさんが走ってきて、こちらを突き飛ばすような形で走って行った。
随分乱暴な走り方をするもんだと思ったが、その理由はすぐに分かった。
電車と一緒に決死するために、こちらは踏切が下がるのを待っていた。
そして東武日光・会津田島行きのリバティの撮影に成功・・・
と思ったら遮断機が上がるわけではない。
今度は中央林間行きの急行がやってきた。
そして中央林間行きをやり過ごしたと思ったら今度は浅草方面行きがやってくるという。
そして70000系の中目黒行きをやり過ごす。
それで遮断機が上がると思ったら大間違いで、今度は野田線の大宮行きが来るではないか・・・!
おいちょっと待て。ここは立体交差化待ったなしじゃないか。
やっとのことで踏切が上がり、車と自転車が大挙して渡る。
・・・と思ったら、また警報機が鳴りだすではないか!
結局、遮断機をくぐって渡り切った。
この踏切は危なすぎる。
せめて、歩行者や自転車用の歩道橋を付けられないものか。少なくとも苗穂には通称「鉄ヲタ橋」があったものだ。
さて、それはいいとして、件の酔狂老人氏が12回もレビューしている中華料理店を目指すことにする。
旧奥州街道の近くにあるようである。
・・・行ってみると、どうも雲行きが怪しい。
みれば「誠に勝手ながら、毎週第3月曜日と火曜日はお休みをいただいております」
(決死モデル:チームY城ヶ崎)
悲嘆(かなし)みに暮(く)れること限(かぎ)りなし。
仕方が無いので、酔狂老人氏がレビューした春日部市内の他の店に行きますか・・・
そう思って他の店を探してみると、せんげん台だったりトブコだったりと、近くにあるわけではない。
仕方が無いので、駅東口の日高屋で昼食とする。
氏であれば、このような店でもひとかどのレビューを残したのではないだろうか。
凡庸(ありふれ)たる連鎖店(ちぇーんてん)なる日高屋(ひだかや)と讒(でぃす)る莫(なか)れ。
茶道(ちゃのゆ)にても先哲(さきがけ)は残雪茶碗(ざんせつちゃわん)に凡庸美(ありふれたるうちにあるうつくしさ)を見出(みいだ)せり。
此(こ)の肆(みせ)の焼飯(ちゃあはん)なるは人口(ひと)も膾炙(し)る絶品(ぜっぴん)なり。
・・・ぐらいのことは平気で書きそうである。
どうせ東京に行かないといけないなら、特急に乗ることにしたい。
春日部には1時間に1本程度停車する。
ということで「きぬ24号」に乗ることに。
(決死モデル:チームRスマレ)
腹も膨れ眠くなったので、後は寝ていたらもう業平橋・・・ ではなくとうきょうスカイツリーに来ていた。
左には、よくコミケに行く時に使う墨田川の旅客船とウンコビルが見える。
急いで降りる準備をすることに。
東武【とぶてつ】の浅草駅も、ほとんど「特急専用ターミナル」と化しているような所があり、普通列車は全部北千住行きか竹ノ塚行きとなっている。
ちなみに下山事件で五反野駅で下山総裁が下りたのを目撃したという列車は、浅草発大師前行きだったのだという。
確かに、通勤客が浅草で降りても仕方ないといえば仕方ない。
北千住から日比谷線に乗るなり半蔵門線に乗るなりした方が都心には近いというものである。
ところで、そんな「長距離ターミナル」化した浅草駅を降りて銀座線に乗ろうと思うと地下街を通ることになるが、なかなかの昭和の雰囲気である。
それは最近もTwitterでバズった所となっている。
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