「はくつる」で上野駅に降り立った朝

以前「もし自分好みの女性が目の前に現れたら?」というテーマで一文書いたことがある。

実際の話をすると、そのようなことが実際にあったのである。

それは、大学進学のために上京したその日のことだった。

Wikipedia「東北本線優等列車沿革」より

まだ東北本線には寝台特急が残っており、「はくつる」は583系で走っていた。

ついに田舎の生活から解放され、今なら狭くてとても寝られたものではない3段寝台に乗って、これから始まる東京での大学生活を夢見ていた。

とはいえ、夜の有効時間帯は上野から500kmも離れていない一ノ関あたりに設定されていたはずだ。

それで、上野の到着は6時台の早い時間に設定されていた筈だ。

ハイケンスのセレナーデで目が覚める。
「長らくのご乗車大変お疲れ様でございました。次は終点 上野、上野でございます」

もう赤羽も通過し、すでに都内に入っており、大急ぎで降りる準備をした。

そして上野駅に降り立った。
まだこの時点で6時台であり、今から電車に乗り換えて大学へ行っても何もできない時間である。

しばらく、上野駅の中をいろいろ見て回ることにした。

当時、上野駅にはJR直営の鉄道グッズの店「ホイッスル」があったはずだ。

その入り口の階段でのことである。

Wikipedia「義肢」より。これは大隈重信の義足。つまり明治時代のものであるが殻構造という意味ではこれが一番イメージに近い。

入谷改札に向かって、ショートボブの女子高生が階段を上っていく。
当時はルーズソックスの頃だ。

なぜか松葉杖をついている。
怪我でも知ってるのだろうか?
見てみると、足のツヤがなんだか無機質な感じだ。
そして膝裏は… ジョイント!?

殻構造大腿義足!?

あまりに突然のことになすすべもなかった。
その義足の女子高生は、入谷改札か上野公園かのほうに去っていった。
まさか追いかけ回すなどという性犯罪者染みたマネもできないし…

あれは幻だったのだろうか?

あの頃を偲んで、入谷改札の辺りを歩いてみたい。
しかし、「ホイッスル」のあったあたりが全く見つからないのだ。
確か、上野駅の浅草愚痴を左手の階段を上って、その踊り場にあったのではないかと思うのだが、こんなオープンエアなスペースではなかったはずだ。

それとも現在のスポーツジムのある方?
いや、確か階段を登る方から見て左手に「ホイッスル」があったはず…

(決死モデル:チームTヤギー;ウルトラマンメビウス出身)

いや、やっぱりこの辺りだったのかな…
どこかの時点で建屋を取っ払って,こんなオープンエアなスペースにしたのだろうか。

もはや、上野駅は「はくつる」が走っていた頃の面影がどんどん消えていっている。

もちろん、頭端式の13〜17番線は現在でも残っているが、もはや特急列車の発着もない。
単なる「電車駅」となっている。

でもそれでいいんだ。
万物は流転するもの。

流転する全てのもののために、思い出をまた一つ供養したということ。
さあ、明日に向かって歩き出そう。

そんな私的devotee史

 

 

 

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