ベトナムの朝がスクーターの爆音で始まるというのは先入観だったかもしれない。
自分の近くで止まって、信号が青になって出発したスクーターは、エンジンが掛かってるのか掛かってないのか分からないようなのもある。
電動化、あるいはハイブリッド化も進んでいるのだろう。
しかしあそこまで静かだと、それはそれで危ない気もする。
ところで、今日のスケジュールとしては、海防空港を8:55に出発するカントー行きの飛行機に乗ることにする。
カントーは柴棍のさらに南のメコン川の河口域にある都市で、ベトナムに5つしか無い直轄市の1つでもある。
鉄道は走っていないが人口は100万人を超える。
それと朝食を食べたいので6時に集合、ということになった。
朝の海防はまだ店も始まっていない。
ところで、家によっては、焚き火をしているところもあるがこれは何でだろう?
(決死モデル:チームPペギー)
さて、6時に集合という割には誰も来ていない。
待っているのは従業員の人だけ。
「まあ中で待っててください」といった感じで入ることを勧めてくれた。
入って待っているのは良いのだが、実業家さんは全然起きてこない。
6時に集合しようと言ったのはそっちではなかったか。
結局、実業家さんの一族郎党12人が自宅兼事務所を出たのは6時50分ぐらいになってしまった。
別に朝食を食べないでそのままチェックインというのであれば別にこの時間でもいいのだろうが、ここから律義に朝食は食べるというのである。
それも悠長にタクシーを待っている。
本当に大丈夫なのか・・・?
それでもどうにかタクシーを捕まえ、冷房の効いたレストランでフォーを食べることに。
そこからまたタクシーを捕まえ、空港へ行くことに。
海防の空港は「カットビ空港」という。
カタカナで書けばなるほど、カッ飛んだ空港なのかと思いたくなるが、ベトナム語ではCát Biと書き、漢越では「葛陂」と書くのだという。
悠長に朝食なんか食べて間に合うのかと思ったが,8:20頃到着してどうにか間に合った。
(決死モデル:チームWBナギサヤ)
出発ゲートは1番とチケットに書いていたが、「ゲートは4番に引っ越ししました。さっき放送でやってましたよ」という。
キャリアはベトジェットで機材はナローボディのB737。
沔西の芹苴までは2時間ちょっとで文字通り「カッ飛び」である。
ちなみに格安航空会社ベトジェットエアの中国語表記は「越捷航空」となる。
海防は亜熱帯だったが、こちらは北緯10度の正真正銘の熱帯となる。
こちらもこちらで暑い。
(決死モデル:トルソーさんのメア)
なにしろ12人の大旅行団なのでタクシーを捕まえること自体がもう一仕事となる。
そしてどうにか9人乗りタクシーが来たので乗ることにする。
芹苴というのはベトナムで5つしかない直轄市の1つであり、人口も100万人を超えていると聞くが、鉄道が走っているわけでもなく、空港バスがあるわけでもない。
この公共交通の貧弱さは何なんだろう。そういえばヤンゴンも空港にはバスは走ってなかった。
その「鉄道のない100万都市」カントーの市内に入り、信号待ちをしていると・・・
どうしてもエンジンがかからない。
運転手が何回エンジンをかけても停まってしまう。
交差点で青になっても動かない。
後からは苛立ったようにバイクや車の群れがクラクションを鳴らしてよけていく。
結局、乗っていた男衆が車を降ろされ、タクシーを押していくことになった。
車がエンコして押していくなんて、こんな令和の時代に経験するとは思わなかった。
不幸中の幸いは、交差点の向こうがガソリンスタンドだったということであろうか。
結局、原因は単にガス欠という事で、ガソリンを入れることでまた動き出した。
さて今日はどこに泊まるんでしょうかという話。
実業家さんからは、「飛行機は日本円で1万円、ホテル代は2500円です」と言われている。
「では1円=200ドンとして、250万ドンでいいですか?」「それでいいです」という事で払ったのだった。
ホテル代が2泊で2500円ということは、1泊で1250円ということ。
ベトナムの物価水準にしても、やたら安くないか・・・?
いったいどんな所に泊められるというのか。
まあ社員を何人も雇っている実業家さんなので、そんなに悪い所に停まりはしないだろう。おそらく・・・
結局、着いたのは何も無いような郊外にあるドミトリーのホテルだった。
清潔感はあるが、確かにドミトリーなら安くはあるだろう。
それにウェイウェイ旅行ならドミトリーの方が確かに賑やかで良さそうである。
・・・で、交通機関の貧弱なこの芹苴で、移動はどうすればいいか。
宿でレンタルバイクをやっているというので、それに乗って大移動である。
運転するのは男衆。
(決死モデル:チームWBノノナナ)
「私も? バイク運転したことないんですけど」
「チャレンジしてください」
「国際免許書も無いですよ。CSDT(交通警察)に捕まりますよ」
「ベトナムではお金さえ払えば大丈夫です」
「・・・」
「嘘です。ユーモアですよ」
「喝上げで家が建つ」と言われるCSDT(交通警察)の悪名高さは、前回の海防でも経験している所である。
一体全体どこへ行くのか分からないが、自分の乗ったバイクの運転手(実業家さんの弟さん?)はやたら方向音痴のようで、至る所で道を聞きながらバイクを運転する。
行先の具体的名称さえわかれば、スマホのGoogleでナビゲーションするのだが、いかんせん言葉が通じないつらさがここにある。
そして郊外に出て、どこかの遊園地のような所に到着した。
しかし携帯を掛けると「ここではない」という。
そして遊園地でもなくお寺でもなく、あちらこちら回ったあげく、川沿いのハンモックを吊るしてあるところに行きついた。
他の人達はもう到着しており「遅いぞー」という感じで迎えられた。
確かに川の風か気持ち良い。
こういう所で果物を食べながら、川風に身を任せるのが東南アジアの休日なのだろう。
(決死モデル:チームRハナ)
ちなみに、カントーを流れている川はメコン川ではないのだという。
ここを流れているのは「カントー川」。
メコン川の支流であるというが、それでもかなりの大河である。
程なくして、「夕食を食べに行きましょう」ということになった。
そしてまたバイクの一団は川沿いを移動することに。
再びカントーの市内に入った。
行った先は何かの市場だった。
ここは「Chợ Đêm Ninh Kiều」(𢄂𣎀寧橋)つまり「ニンキェウ夜市」とでも訳すことができようか。
テントには服屋が出店をしている。
Tシャツは「Áo thun」(襖𦀹=弾力性のある服)、
ジーンズは「Quần Jeans」(裙Jeans)で、襖𨱽のズボンと同じで「裙」になるらしい。
後は適当にビールやスルメを買って、
「モッ、ハイ、バー、ヨー、モッ、ハイ、バー、ヨー、ハイ、バー、ヨー!」である。
漢越なら「𠬠𠄩𠀧𠓺、𠬠𠄩𠀧𠓺、𠄩𠀧𠓺!」といったところか。
カントー川の流れと共に、ベトナムのパリピな夜は更けていく。
「クラブに行きますか。強い音楽が流れますが」
「いや、もう寝ときます」
という事で一足早く寝ることにした。