今日は帰国日。
やることもないので、ワット・プノンあたりで猿でも見ながらボーっと生きてることにしよう。
ちなみに、今回のタイトルは「ボーっと生きてんじゃねえよ!」をクメール語にGoogleで機械翻訳したもの。どう読むかは知らん。
さて、プノンペンの朝はと言えばベトナム同様、バイクの爆音で始まる。
これが東南アジアの普通なのかもしれない。
ところで、プノンペン駅前のこの超高層ビルはまるでペンギンのようである。
(決死モデル:チームRハナ)
事実「プノンペン ペンギン ビル」で検索するとこれが出てくる。
この超高層ビルは「Vattanac Capital Tower」と言うのだそうで、プノンペン随一のオシャレ施設なのだという。最上階のスカイレストランは有名なデートスポットなのだそうで、きっとカンボジアのエリートリア充カップルがあそこで逢瀬を果たすのに違いない。かと思えば田舎では日本の意識高い大学生さんが小学校を建てたりなんだり・・・
このようにして、カンボジアもどんどん経済発展してポルポトだの最貧国だののイメージを歴史の彼方に消し去っていくかのようである。
さて、プノンペンで何をするか。それは新しく開業した空港鉄道に乗りたい。
このカンボジアで、列車を毎日運行するようになったというのは非常に画期的な事である。
ただ、1列車が単純往復で、プノンペン駅か空港かのどっちかに着いたらすぐに出る、と言うダイヤなので、次の列車までは決まっているがその先は決まっていないという行き当たりばったりのダイヤである。日本というかカンボジア以外の国では到底考えられないようなダイヤである。
そして、今年中は無料で運行するのだという。
そのようなダイヤなので、例えば夜に空港に行こうと思った時に乗ろうと思っても、いいダイヤで来てくれるかどうかは分からない。それに今回は空港は夜の出発なので、明るいうちに空港鉄道に乗っておきたい。
そうこうしているうちにノコノコと列車がやってきた。
1994年チェコ製の機関車が客車1両を引っ張っており、数名の客が下りてきた。
そのうち機回しでもやるのだろうか。そうでなければ推進で行くしかないだろうが、安全性がお世辞にも高いとは言えなそうなカンボジアの鉄道で、推進運転などと言うさらに安全性の低い運転の仕方をするだろうか。
いつ機回しが始まるのか待っていると、何と出発しだした。
やっぱり推進なの!?
工事現場で着るような蛍光色のジャケットを着たおばさん車掌の機転で機関車に減速してもらい飛び乗る。
列車はこんな感じで、安全員が2人いてヨタヨタと推進で走る。
(決死モデル:チームY城ヶ崎)
車内には、軍服らしい服を着たオッサンがいて、あとは客は自分だけ。
軍服のオッサンは鉄道会社のえらいさんか何かだろうか。作業服の車掌に何やら偉そうに支持を出している。
ところで、空港までの路線と言うのはどこからが新規開業なのだろうか。途中までは本線を走るが、途中からは路面を走っている写真があったような・・・
Google mapで確認しても、本線を走っており空港方面に分岐する気配もない。
その答えはすぐに分かった。
空港から垂直に伸びる道路と本線が交わる踏切を過ぎたあたりでいったん止まり、そこからスイッチバックで空港を目指すのだ。
そしてその路線は、路面を走るものだった。
ああ、こうして空港を目指すのね・・・
それもこれも、列車が全くと言って良い程走っていないカンボジアだからこそできる芸当である。何もかもが他の国の常識からは考えられない運行形態としか言いようがない。
そして走ることしばし、空港に到着。
空港の駅はホーム1本だけの質素なものである。
駅舎はガラス張りでチケットカウンターと待合室が整備されていた。
プノンペン駅へ行く列車には10人弱の客が乗り、すぐに折り返していった。
こんな長閑な・・・ というか、普通では考えられないような空港連絡鉄道の短い旅は終わった。
さて、ポイペトで下ろしてきたドルであるが、50$という高額紙幣があるのでこれを崩したい。物価の安い国で高額紙幣など持っていても、正直使いようがない。店やトゥクだってお釣りに困るし、ひどい場合お釣りもくれないでそのまま全部持っていかれることだってある。
でも空港の中の店なら、そんなこともあるまい・・・
そのついでに朝食と洒落込みましょう。
韓国料理店で純豆腐チゲを頼んだら、意外に味付けはまともであったがもやしがやたら多かった。
さて、食べるだけ食べたら、トゥクでワット・プノンにでも行きますか・・・
あそこには猿がいたはず。
youtubeでは猿映像が沢山出てくるが、一周して探し回っても全然いない。どうなっちゃったの?
もう1週しようと思った時、正門前でトゥクの運ちゃんに捕まった。
「ワッターユーゴーイング?」
「ノーノー。モンキーを探してるんだよ」
「モンキー? そんなのモンキー・テンプルにいるよ」
モンキー・テンプルはトンレサップ川の向こうにある寺院である。
それは知っていたが、実際に猿がいるのかはたまた「猿を祀っている」だけなのか判断できないでいた。
「猿はいるんだろうな?」
「いるよ。キーキー!」
「いくら?」
「5ドル」
何かぼったくりそうな感じの運ちゃんでも、意外にその程度なのがカンボジアなのだ。
「よし、じゃ行こう」
トンレサップ川を渡る大きな橋は「Japan bridge」だという。
そしてMonkey templeに到着。
その前に、運ちゃんが露天商のおばちゃんからスナック菓子を買う。
「これは猿が好きなんだ。あんたもやれよ」
・・・と、
「お、屋根を見ろよ。猿だぞ」
確かに猿が数匹いた。意外に小さい。
ところで、小学生ぐらいの女の子がやたら物乞いしてくるんだけど・・・
ただ、ポケットに手を突っ込んでくるようなワイルドなまねはしない。
さて、では眞露味のココナツがけピーナツをあげてみましょう・・・
予想していなかったのは、そのココナツ掛けの豆を上げる時、手が油で汚れるのだ。
その手でカメラを操作しなければならないのでカメラまで汚れることになる。
それと、猿は焼酎系は余り好きではないようだ。
猿と酒を酌み交わすなら、日本酒やビールなど、穀物の匂いがする醸造酒系がいいのかもしれない。
実はビールも持っていたのだが、ここまで人の目(運ちゃんとか物乞い少女とはいえ)があると、猿とビールを酌み交わすというのもやりにくい。
本来は、午前中いっぱい猿と戯れる予定が、すぐに終わることになってしまった。
こんな事をして・・・ 正直、東南アジアに買春に行くオッサンと本質的に何ら変わることはない。日本では到底できないことをやろうとしているわけだから。
さて、キリングフィールドだトゥールスレン収容所だと、他の観光地をしきりに勧める運ちゃんから逃れ、昼食と洒落込みたい。
これまたお洒落なビルに、ハードロックカフェがあった。ここは全く先進国並みの食事を取ることができる。
さて・・・ こうなってしまうと全くやることがない。この先どうしよう?
と、何かが「無い」ような気がする。
ああ、VISAデビットや保険証などを入れていた第2財布だ!
第2財布は、一昨日のポイペトで金を下ろす時には確かにあったのだが・・・
なくしたとなると、以下の策を講じないといけない。
- 保険証の紛失と再発行の手続き
- VISAデビットの使用中止と再発行の手続き
- 国会図書館カードの再発行の手続き
- 欠損バーの会員カードの再発行の手続き
VISAデビットの方は、サイトにログインしてすぐに手続することができた。
保険証の方は、まあ会社の庶務に頭下げて怒られて始末書書く・・・ んだろうな。
国会図書館のカードも実は再発行したばっかりでカッコ悪い・・・
それよりなにより、欠損バーの会員カードを2周目まで貯めたのに、チェキ無料してもらうこともなく、あえなく紛失。
いったいどこで落としたんだ・・・?
ポイペトの銀行で90$おろした時はまだ手元にあった。それ以降という事になる。
これにも原因があり、海外旅行の時は、洗濯しても乾きやすいようにモンベルの山用のズボンを履いていくのだ。この山用のズボンは、各ポケットにチャックがあるのでこれも重宝する。
ところで、このズボンは左の尻ポケットがないのだ。普段であれば第2財布はここに入れるのだが、このモンベルのズボンだとそれもできず、リュックに入れるので、慣れない位置にあると間違いが起きる、という事になる。
もっとも「第1財布」「第2財布」に分けているのは、このような紛失や盗難という事態に備えてのことでもあるので、一応冷静に対処することにしたい。
これが身ぐるみ剥がされるという事態になったら、もう日本大使館にでも駆け込むしか手はないだろう。ただしそれも平日の話。
最近の安田何とかさんの解放でも話題になったが、日本大使館と言うのは邦人保護にやたら淡白であるという。自分にそんな事態が起きたとして、どこまで仕事してくれるものか・・・
さて、本当にやることもないので、前回のカンボジアで、非常に感銘を受けた「カンボジアのアンネ・フランク」ボパナの名を冠した「ボパナ視聴覚センター」に行ってみようか。
トゥクの運ちゃんに「ボパナセンターに行ってくれ」と頼むと、「ボパナ? それよりストリートナンバーを言ってくれ」と、さほど有名な施設でもないようである。
それでもどうにかたどり着くことができた。
(決死モデル:チームWB嵐山)
このボパナ視聴覚センターは。カンボジア内戦で散逸した映画資料を集めて修復するのが目的の施設だというが、今ではカンボジア映画人の一つの拠点となっているようで、まるで下北沢かどこかのような雰囲気を感じた。
常に数週間ずつ区切りで、何かの映画の企画展をやっているようであった。
今回は、カンボジアの何の映画だろう・・・ 内戦を描いたものだろうか?
ともかくも、カンボジアでも若い映画人が、意欲的に映画作りに取り組んでいるようだった。
ところでこのボパナセンター、猫スポットになっているようで、数匹の猫が出たり入ったりしている。どの猫もガリガリに痩せている。
さて、その後はオサレな喫茶店でブログを編集したりなんだり。
日も暮れて、いい時間になったのでトゥクでどこかで夕食にすることにする。
結局、食べるところと言えば北レス・・・
結局はそういう選択肢になってしまうのだ。日本料理は高くてあっさりしすぎ、そうなると選択肢は自然とコリアンという事になってしまう。ウランバートルの時もそうだった。どんな食べ物のまずい国でも、コリアン系だけは食えるのだ。
で、平壌冷麺館へ行き、店を出ようとすると、
「ショーが始まりますよ? いいんですか?」
「いや、エアポート行かないといけないので」
そしてトゥクで駅を目指す。
先述の通り、空港連絡鉄道と言うのはいつ来るか分かったものではない。
22:50の出発となると、少なくとも21:30には空港に着いておきたいところ。
だいたい片道で30分強の行程だったので、逆算すれば21:00発以降であれば、あきらめてトゥクで空港を目指すことにしよう。
果たして駅に到着すると、空港行きは20:30の発車だという。これなら空港連絡鉄道でも間に合うだろう。
しかしここから1時間はある。
待合室には自分以外おらず、外ではトゥクの運ちゃんが鵜の目鷹の目でこちらを誘う。つまりは「列車なんかいつ来るか分かんないからトゥクにしようぜ」ということ。
1時間もこの鵜の目鷹の目に耐える根性はないので、近くのコンビニのイートインみたいなところでパンでもかじりながら待つことにしたい。
果たして20:30も近づいてきたので駅へ行くこととしたい。
しかし列車が来る気配もない。
何となく予想はしていたが・・・
切符売り場のお姉さんに聞いてみると「10分遅れるみたい」という。
10分だけならまだいいが・・・
そんなこんなしてると、そのお姉さんが「Sir!」という。
列車が来たのだ。
向こうに見える機関車のヘッドライトの頼もしきことよ・・・
(決死モデル:チームR持田)
ところで、プノンペンの駅に行ったことのある人であれば分かると思うが、この駅はホームが1本だけの頭端駅で、2列車が入ることができるように見える。
だからこれが1番線2番線化と思ったら、2番線3番線なのだという。
1番線は、向かって右の、古典客車などが止まっている部分で、ここも一応ホームらしい。
さて、列車はすぐ折り返すので、さっさと乗ることにしたい。
列車は10分遅れで出発。
客は自分1人だけなので、何となればゴロ寝することだってできる。咎め立てする人は誰もいない。
ところで、この客車の後ろには赤外線カメラが付いており、前面展望を見ることができるというサービスがある。
そんな闇夜と言う危険度MAXな状態を推進で走っていく。なかなかの芸当である。
そして例によって空港前の道路でスイッチバックし、路面上を空港を目指す。
さすがのカンボジア国鉄も考えてはいて、車体の裾に派手なネオンを装備したり、軌道上にピカピカ光る標識灯を付けたりはしている。
空港に到着した時は21:19。まあまあの時刻だった。
(決死モデル:チームY間宮)
そして空港のチェックインカウンターへ。
ANAなので、久しぶりに日本語を見たような気がする。
そして実は、自分が最後のチェックイン客だったらしく、自分がチェックインしたら撤収に入っていた。
そして出国審査と相成ったが・・・
「何で入国印が押してないんだ?」
「俺はポイペトから入ったけど、スタンプ押す人がいなくてそのまま入ったよ。ポイペトにはパスポートチェックする人なんていなかったよ」
「そんなはずはない!」
・・・結局、偉い人が数人集まっているところに連れて行かれた。
「だってしょうがないじゃないか。ポイペトでチェックする人がいなかったんだから」
「います! あなたの間違いでしょう? 人のせいにしないで! だったらポイペトに戻って!」係官はスカートが短くて脚がきれいな中年女性だが気は強い。
「えええ・・・!?」
本当にポイペトに戻るとなると、今から乗れる夜行バスなんてあるだろうか。
本当にそうなったらまたプノンペンに戻るなんてアホらしいから、バンコクから戻ることにしよう。それならそれとして、会社には連絡しないと・・・
そんな風に考えを巡らしていると、
「あなたの間違いよね? あなたは自分の国に戻るだけよね? 次からは気を付けるのよ」
・・・ということで、今回ばかりは通してもらう事になった。
最後の最後で一波乱となってしまった。
しかし、あのポイペトにそんな入国審査の施設なんてあっただろうか?
「人のせいにするな」なんて言われても、そもそも抜けようと思えば抜けれるその仕組みが間違ってません?
まあいいや。この件は別項を立ててしっかり振り返ることにしよう。
さて、あとは帰国するだけである。
全日空811便は、結構ガラガラで隣の人もおらず、快適な夜のフライトであった。
成田空港の南ウイングで、Wi-Hoの端末を返却して、この旅は終わりを迎えることになった。
(決死モデル:トルソーさんの丸尾)
さて、今日は早速会社で徹夜案件になる。
保険証の件で庶務に頭を下げないといけないし、思い切っていくか・・・