東京パラリンピックが開幕するはずだった8月25日、切断ヴィーナスのオンラインショーをやることになった。
喜び勇んで見に行くことにしましょう。
全体的な構成としては、まずオープニングがあり、その次にアスリートとしての姿を見せる部分「共走」があり、次にファッションモデルとしての姿を見せる「幻想」という構成となっていた。
ここに総勢11人のヴィーナスたちが出る、というものである。
そんな彼女たちをどんな順番で紹介しようか・・・
今回はイロハ順で紹介することにしたい。
いろはにほへとちりぬるをわか・・・ということでまず紹介するのは、金子美南海さん。
右下腿切断でつまりRBK。
「共走」の時は黒いロングスパッツという外国人が皇居ランする時のような恰好で登場。
また「幻想」では、シルクのタイトなミニドレスで完璧なスタイルをアピールする。
美貌も恋も仕事も(私生活のことまでは分からないけど)全てにおいて完璧なオーラを出しつつステージを闊歩する。
身長も高く本当にモデルのような美人さん。
よたれそつねならむ・・・ということで次は村上清加さん。
村上さんは右大腿切断のRAKである。
AKB48なら大島優子、SKE48なら松井珠理奈、HKT48なら指原莉乃・・・というほどの、「切断ヴィーナス」における主要なメンバーであり、多くのステージに立っておられる。
数年前、年下のボブスレー選手の男性と結婚され1女のママとなった。
今回のステージでも女王の風格を出している。
うゐのお・・・ということで次は折茂正美さんで、右大腿切断の「RAK」。
折茂さんは普段は歌手や占い師をしておられ、2011年の「切断女の夜」にも出演された。
カリスマ義肢装具士である臼井二美男氏に依頼し、右足を「Reg too」という弦楽器にして出演したこともある。
また、今日の義足は銃器をそのまま使っている。ピーターパンに出てくる海賊のようないわゆる「peg leg」の状態。
また、村上さん同様「切断ヴィーナス」の主要なメンバーとして数々のステージに立っている。
この方の決めポーズは大腿義足の膝関節を逆に曲げるポーズ。
最近は左右に振るくらいの余裕まで出てくるほど堂に入っている。
私事になるが、年齢的にはこの方と近いので、末永く頑張ってほしいところ。
くやま・・・ということで次は前川楓さん。
三重県出身のこの方もやはり右大腿切断のRAK。
アスリートとしてパラリンピックでメダルを狙う彼女はボーイッシュで常に鍛えられた肉体を披露。
今のところ、紹介している全員が「右足切断」。
右足は何かに呪われてるのか・・・?
けふこ・・・ということで、次は小林久枝さん。
この方もまた右下腿切断でRBK。
2014年の写真集「切断ヴィーナス」では、いなせな法被姿で神輿を担いでいた江戸っ子(たぶん)。
男勝りな「強い女」のイメージの彼女も華やかなドレスに身を包みステージを歩く。
おなじ「こ」で小松茉奈美さん。
この方は左大腿切断でLAK。
南千住の義肢装具サポートセンターや切断ヴィーナスのステージでもよくお見かけするようになった。
数年前は大学生だったので今は卒業してるのではないだろうか。
「切断ヴィーナス」の中ではアイドル性の高い小松さん・・・今はちょっとイタリア人が「君がこの世に増えてうれしいよ」という状態・・・?
えて・・・ということで次は勅使河原みなみさん。
この方は左下腿切断なのでLBK。
まだ10台と思われる勅使河原さんは、昨年の24時間テレビに出たという。
バスケットボールに打ち込んでいた中学生の頃、病気で左足を切断することになったという。
その失意の中、カリスマ義肢装具士の臼井氏に出会い、走る喜びを得たのであるという。
まだステージ経験が浅く表情は固いが、これから素敵な大人の女性になることが期待されるところ。
「て」の次は「あ」で阿部未佳さん。
阿部さんは右下腿切断でRBK。
越智孝雄氏の写真集「切断ヴィーナス」にも出ていたが、あの頃はホンワカした雰囲気だったが、現在はきりっとした感じの女性になっている。
切断ヴィーナスのステージでもよくお見かけするようになった若手レギュラー。
次もおなじ「あ」で海音さん。
海音さんは右下腿切断でRBK。
切断ヴィーナスの皆さんお美しくていらっしゃるが、その中でも「あれ?こんなかわいい子いたっけ?」というほどの強烈な存在感を示している。
それもそのはずで、ローティーンの頃から読者モデルをしていたのだという。
そうしていたところ、血管の病気で右足を切断することになってしまった。
義足であることをカムアウトしてステージに立つのは初めてであるという。
今後とも、レギュラーとして活躍してほしいところ。
さきゆ・・・ということで次は湯口英理菜さん。
湯口さんは両大腿切断つまりDAKとなる。
両大腿切断で杖無しでここまで歩けるのは驚嘆の一言である。
数年前の24時間テレビでは、両足が義足であることを友達にカムアウトしていた。
つまり「言われるまで分からない」程に義足の技術が進化しているということである。
そして本人の努力もあるだろう。
おそらくは20歳前後と思われ、やはり若手レギュラーとして今後の活躍が期待されるところ。
めみしゑひもせす・・・で、イロハ順のテールエンドになるのは須川まきこさん。
須川さんは左股関節離断つまりLHDで、左足をまるまる切断したという状態である。
レースをモチーフとしたイラストを手掛けておられ、個展にはよくお邪魔させていただいているが、気さくに応じてくれる関西女性である。
そして、この「切断ヴィーナス」のプロデューサーと言えるのが、今やカリスマとなった義肢装具士の臼井二美男氏である。
切断障害者の陸上チーム「スタートラインTOKYO」(旧:ヘルスエンジェルス)を主宰され、多くの切断者に「走る喜び」を与えてきた。
既に定年の年齢となっておられるが、現在でも第一線で義肢装具士をしておられるという根っからの仕事人なのだという。
そして、写真集「切断ヴィーナス」をものし、パラリンピアンを追い続けてきたのが写真家の越智貴雄氏である。
シドニーパラリンピックでパラリンピアンの躍動感に心打たれたという越智氏は、パラリンピックアスリートの撮影がライフワークになったのだという。
切断ヴィーナス達とお近づきになれるとは羨ましいこって・・・というのが偽らざるところではあるが、プロとして仕事第一に生きているのは臼井さんと同じであろう。
仕事を極めた結果の栄達なのである。
仕事嫌いな自分には及びもつかない境地であると言えよう。
ともあれ、皆さん、お疲れさまでした!
ちなみにカレンダーも買ったので届くの待ち。