ベトナムで話題をさらった「ベトナム・クチュール(Cô Ba Sài Gòn 姑爸柴棍)」が日本でも公開するのだという。
1週間だけの公開だというので、さっさと行って来ないといけない。
徹夜案件後で疲れており、なおかつ年末の片付けも済んでいないのだが、チャンスは逃したくない。
ということで丸の内線に乗り新宿三丁目へ。
場所はK’s cinemaという単館上映系の映画館となる。
(決死モデル:チームWBナギサヤ)
ここはかつて日越国交45周年を記念したベトナム映画祭もやった場所である。
さて、この映画の一つの舞台となった1969年とはどんな時代か。
ベトナム戦争のさなかで、到底アオザイだファッションだ言ってられる時期でもないと思うのだがどうだったのだろうか。
この時期におけるベトナム戦争の流れとしては以下の通りとなる。
- 1964.8 トンキン湾事件
- 1965.3.26 北爆開始
- 1965.9 韓国軍参戦
- 1966.1 タイビン村虐殺
- 1966.2 ゴダイの虐殺
- 1967.9.3 南ベトナム大統領にグェン・バン・チュー就任
- 1967.11 北爆の縮小を主張しマクナマラ国防長官辞任
- 1968.1.29 テト攻勢
- 1968.2 フォンニィ・フォンニャットの虐殺
- 1968.3 ソンミ村虐殺。アメリカで反戦運動が盛り上がる
- 1969.1.20 米大統領にリチャード・ニクソン就任
- 1969.8 米陸上兵力25,000人削減
北ベトナムとの境界である17度線近くでは、同胞の女性や子供が多く殺害されていた。
そんな時期に蝶よ花よで過ごしていたことになる。
ともかくも、映画の見せ方としては1969年、フレンチコロニアルな雰囲気が芬々と殘るサイゴンから突然タイムワープし、高層ビルが立ち並びオートバイが爆音を立てて走り回る現代のサイゴンに。
また、華やかな洋装のデザイン画を描いていた1969年の主人公に対し、すっかり落ちぶれたおばさんと化した2017年の主人公は、瓶でそのまま酒を飲みながらその日の夕食の香草をむいている。
この映画には、多くの女性クリエイターが参加したのだという。
だからこそ成しえたある種の生活感というのも感じる。
ところで、有料のプログラムにはアオザイの歴史も書いている。
その中では、かの「人間バーベキュー」「ドラゴン・レディ」「ベトナムの曽野綾子」マダム・ヌーについても触れられている。
マダム・ヌーが肯定的な文脈で触れられているなど、初めて見た。
いずれにせよ、何回も繰り返し見たい映画に出会えたような気がする。