今回もまた戦前編である。
昭和7年11月20日の「よみうり少年新聞」より。
秋田県南の中心都市・横手は当時市制しておらず「平鹿郡横手町」であった。
その横手町の警察署にある届け出がなされる。
「私の足を探して下さい」
もしかしてバラバラ事件!?
この年の2月には名古屋で「首なし娘事件」(拙ブログのエントリも参照)、3月には東京で「玉ノ井バラバラ事件」が発生し、いずれもセンセーショナルに報道されている。
警察官がそう思うのも無理はない。
しかし、よく聞いてみると、「酔っぱらって歩いていたら増水したドブにはまって義足を流された」というのである。
結局その義足は見つかったのかどうか、この記事からは判然としないが、この義足を無くされた方、三輪村から来ていたというので、現在の羽後町三輪であろう。
当時であれば羽後交通雄勝線(昭和46年廃止)の羽後三輪駅があり、湯沢に出てから奥羽本線に乗り換えて横手に出てきたであろう。
ちなみに、当時の雄勝線の電車は、終点の梺駅の跡に保存されている。
ただし、鍵を開けてもらわないと入れないので、事前に羽後町役場に問い合わせが必要である。(羽後町ウェブサイトより)
決死モデルはトルソーさんのファラキャ。
昭和7年という時代は、満州で柳条湖事件が発生するなど、またぞろ「戦争する国」へ歩み続けていた時期である。
それでもまだ一般庶民レベルでは平和な時期で、エログロナンセンスが隆盛していたようである。
この紙面のトップはやはり外地の話題で、朝鮮トラ狩りをしたというニュースである。
朝鮮トラはアムールトラの事で、森林伐採による餌場の減少で絶滅危惧種となっているようであるが、最近は北朝鮮でも生存を確認しているということである。